「コンパートメント No.6」
ロサ・リクソム 著
乾いた凍てつく三月の夜、モスクワはうずくまっていた。
この本、素晴らしい。
ソ連崩壊直前、モスクワからウランバートルへ向かうシベリア鉄道。
おんぼろ列車、果たして目的地まで辿り着くのか。
「コンパートメント No.6」にのりあわせた。女学生と労働者。
フィンランド人留学生寡黙な少女と建設現場に向かうロシア人の饒舌な男。
何となく前途に暗雲漂うがごとしではないか。嵐の予感。
地の果てまでの旅に一体何が起こるのか。
ハラハラドキドキ・・
夜は去り、あたらしい日になる。地面からの木の幹を伝って雪が立ちあがり、梢の静寂は立ち消える。鷹はオレンジ色の雲に腰かけて、みみずのように蛇行する列車を眺めている。
車内は、ギラギラギトギトのおっさん。ウォッカを飲みながら喋りまくる。油断したらレイプされかねない・・・
窓外はとても詩的な風景が・・・
列車はゴオゴオと突き進む・・・
ちょっと止まったら数時間。
故障したら数日。
女学生は男に連れられて、駅から街にでる。男はあちこちに知り合いが居て、泊めてもらう。こんな列車の旅って・・・
ウォッカと一緒に食ってるモンって、なんだか美味しそう・・
怖いけど。
雲はぶつかりあいながら空を泳いでいる。
やがて夜がゆったりと安らかに列車になだれこんだ。
早春の軽やかで静かな朝の光のなかで、少女は目を覚ます。三回目の駅の鐘が鳴るよりもずっと早くに。機関車が深いため息・・・
いったいウランバートルに何があるのだ。
一度は乗ってみたいシベリア鉄道。
こんなハードな旅はできへんけど、わしならどんな旅ができるやら・・
ええですなあ。
とても素晴らしいロードストーリー。
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
「ゲーテはすべてを言った」
鈴木結生 著。
「ゲーテはすべてを言った」か?
とても難しい本ですなあ。
はるか昔、高校生の頃、ゲーテの作品は何冊か読んだことはある。読んだことがあるという記憶だけで、どんなやったかさっぱり覚えてない。
凡人の末路はこんなものだ。
これは、ゲーテ研究の第一人者という博把統一の知の冒険の旅ものがたり。
ある時、「ゲーテはすべてを言った」という言葉が気になった。
果たして本当か。ほんまにそう言うたのか。
似たような言葉はたくさん見つかった。
その原典をさぐる。それにまつわる言葉、文章、作品・・・
学者であればいくらでも探る道はある。
知の冒険の旅が始まる。
ドイツへ。
ゲーテを求めて・・・
ゲーテの言葉を求めて・・・
妻と娘、娘のフィアンセを連れて。
ミステリーのようでミステリーでないような。
わしには難しすぎる。
わしの勝手なおすすめ度。
星三つ。
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