「雪夢往来」。
木内昇 著。
「書かねば、夢は終わらない。」
江戸時代に書かれた、「北越雪譜」という本がある。雪国に暮らす。「鈴木牧之」という人が、雪国の暮らし日々のなかでおきる恐ろしいこと、考えられへんこと、特有の人情話、物産の話、さまざまなことを書き記したノンフィクションである。
雪の結晶図あり。こんなんわかってたんやね。
雪の山中で大洪水が起こる話がある。なんと不思議な。なんと凄まじい。
もちろん、熊との戦いがある。熊が人を助ける、共存の話もある。
ある雪深い季節。一生懸命真面目に働いて、妻を得て、男の子が生まれた。
喜んだ二人は、実家に見せに行こうと家を出た。
ところが俄に天をゆるがす猛吹雪。逃れる術もなく二人は雪の中に倒れた。
翌日 村人が赤子の泣く声に気が付いた。二人は赤子を庇って懐に抱いたまま息絶えたのだ。
なんという悲しい。
こんな物語がいっぱいある。
わしは興味を抱いて、新潟の秋山郷まで旅をしたことがある。
これは、「北越雪譜」が世に出るまでの話である。
ある時、牧之は思った。「越後の風俗や奇談は、江戸者の耳目を驚かすに違いない!」
これを描き残そう。
牧之は地方の有力者で度々、江戸や大阪など都会から人を招いて句会などを催している。
本が少しずつ書き溜められるにつれて、これを世に出したい、出版したいという思いが強くなっていった。
そして、わずかなコネをたよって有名な戯作者、山東京伝と接触する。
もしかしたら?
しかし、時間がかかるばっかり。
あっというまに10年過ぎていく。滝沢馬琴もなんだか興味を持ってるよう。
しかし、らちがあかない・・
全部金を出せば・・・そんなバカな・・・
そのうち山東京伝は死んでしまった。
もう消えてしまったか?
しかし、その遺志をついだ弟京山が息子京水をつれて・・・
いよいよ・・
とても面白い。
やっぱり「北越雪譜」はええですなあ。また読み返した。
わしの勝手なおすすめ度。
星四つ半。
「帰れない探偵」
柴崎友香 著。
「世界探偵連盟委員会」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。
「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
これは、今から十年くらいあとの話ーー。
「どこに行っても音楽がある。どこの街にたどり着いても、音楽があればそこに居場所がある気がする。帰る場所がなくても、音楽のある場所にはしばらくいていいのだ。音楽が続くかぎりは。
とてもシュールな話である。
時空が行ったり来たり。
これが今から10年くらいあとの話であれば、今はいったい何なんだ。
いったいどこにいるのだ。
わたしは探偵。
ある日、わたしの家が無くなった。事務所兼用の部屋に帰りつけない。
道がない。路地がない。
何が起こった。
血生臭い事件は起きないけど、なにか起きる? きっと。
某IT企業が・・・ 情報が世界を支配? いつも誰かが監視してる・・・
そして・・・
とても不思議な世界。
時空がねじれてる。
とても面白い。
わしの勝手なおすすめ度。
星四つ。
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