最近読んだ本、「暦のしずく」、「話の終わり」。

  • 2025年10月9日
  • 9人

「暦のしずく」。

沢木耕太郎 著

あじあん

「日本において、時の権力によって、その芸を理由に死刑を宣せられた芸人は存在したか。」

なんだか最近、本を読んだら、特に歴史小説なんかでは、徳川吉宗、家重、家治の時代が舞台になっている小説が多いような気がする。大河ドラマ「べらぼう」にあやかってんのか、出版社が意識してるんかそれはわからんけど、この本を読み始めて、最初は、またかと思ってしまった。
沢木耕太郎までそうくるかとがっかりしかけたけど、読んでるうちに、やっぱりどんどん惹き込まれてしまった。
とても面白い。
まるで講談を聞いてるかのよう。実は講談を聞いたことないけど。
ポンポンと話が進み、パンと扇子を叩くかのようなリズムで舞台が変わる。
主人公がカッコいい。正義の味方が大活躍。
読みながらわしらも、世の理不尽と戦っているような。
頑張れ、馬場文耕。
とても面白い。
さて、馬場文耕。元は侍。
事情があって、各地をながれ、江戸の裏長屋に。
食うために始めたのが、講釈師。
そのころ人気だったのが深井志道軒。
文耕は知識人、面白おかしくはやれない。
中心は太平記、自分で原稿を作る。
最初はええけど、じきに飽きられる。
しかし、地道なファンは多いみたい。しかも女にモテる。人柄か?
そのうち、市井の事件を講釈本にする試みを。
手応えありか?
ある時、遊郭の芸妓をネタに一作モノするはめに。
当代江都百化物、深川中町本屋お六という名高き芸妓あり。心に伊達を忘れず、芸妓の中の粋と呼ばれし女・・・
これが大ウケ。
そして次には・・・・・
文耕は命を狙われている? しかし、彼は、剣の達人であった。無尽流・・・かすみの刀?
果たして彼は、無事切り抜けられるのか・・・
密かに助けが?
彼は、講釈師も道を続けられる?
しかし、お上の手が迫る?
奉行所に目をつけられた?
つぎに、ネタにした事件とは・・・
そして次々に??
このままネタが大きくなって行ったら。幕府が・・・ やばいんではないか?・・
とても面白い。
まるで、ノンフィクションを読んでるみたい。
いったいフィクションなのか? ノンフィクションなのか?
実はノンフィクション?
筆の力ですなあ。
あっと言うまに読んでしまった。

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星五つ。

「話の終わり」

リディア・デイヴィス 著

あじあん

「彼を最後に見たとき、そのときはそれが最後になるとは思っていなかったが、私は友人とテラスに座っていた。」

 

それから一年後、私のことなどすっかり忘れただろうと思っていたころ、彼からフランス語の詩を手書きで写したものが送られてきた。

この作家の本、「ほとんど記憶のない女」を読んでびっくりした。
すごい作家だ。
とてもシュール。
とてもクールでスマートな短編集。たった一行のモノもあれば、数十ページのモノもある。
短い言葉でビシリと決まる。
新鮮で凄烈。こんな作家がいてるんや。
ええですなあ。
そして、この本。
今度は正反対? 長編である。
それもたった一つのネタ。
別れた若い男。についての恨みつらみ。
未練や恋心。
くすぶりつづける小さな埋み火。
燃え上がった大きな炎。
いろんな話を、あんなこと、こんなこと、連綿と、延々と、脈絡があるようで無いようで。
起承転結に関係なく。
ひたすら書き綴る。
退屈なようで面白い。
飽きるようで、ときどき、ハッとする。
フィクションなのか、ノンフィクションなのか。
これまたわからん。
暮らす人、行為する人、食べる人、恋する人・・・
それを描く人。
とても奇妙で、とても面白い。

マデリンは車を買う金も電話を引く金も持っていなかった。
ガレージにすみたい

作家なのか、ストーカーなのか。

とても面白い。

本の写真撮るの忘れた。

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ。

あじあん

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