最近読んだ本、「熟柿」、「楽園の楽園」

  • 2025年9月23日
  • 18人

「熟柿」

佐藤正午

あじあん

わたしはパトカーに乗り慣れた人間になどになりたくない

晴子おばさんの葬儀はなんだか変だった。
おばさんがとても変わった人だったからか。その場で夫は酔い潰れ、私が運転。
買ったばかりの新車、雨の中、妊娠中の私。
前がよく見えない。
何かに当たった? 夫は寝ている? わたしは見に行かなかった。
ひき逃げ、致死。逮捕、裁判。刑務所で服役。
そこで子供も産んだ。
夫とは離婚。子どもとは引き離されたまま。
元受刑者に親権は来なかった。
スーパーで働いている。日々の暮らし、ただそれだけ。
母が子に会えないのか?
会いたい。虚しい。心乱れるばかり。
友も言う。親が子に会うのはあたいまえじゃん・・
そしてついに・・・
幼稚園。サキちゃんがいる。たっくんのママ? 呼んできてあげようか?
そして・・・
パトカーが来て、警察に・・・
また、虚しい日々に・・・
子どもはそろそろ一年生。入学式がせまる。
またもや、心が騒ぐ・・・
受付で・・・ 母です・・・
あいつは誰だ・・・  皆が集まってくる・・ 警察を・・・
さきちゃんとお母さん、久住呂さん、この人は母親です・・・
しかし・・・ 「わたしは見て見ぬふりはできない」
とうとう、スーパーには居られなくなった。
笛吹市に流れていく・・石和温泉・・中居に・・
束の間のやすらぎ、小さな幸せ・・・
日々の暮らし、子どもに手紙を綴る・・・出さない、出せない手紙・・
刑務所帰りの烙印はついてまわる・・・
いろいろあって、やっぱり・・・
岐阜へ・・・・大阪へ・・・
元夫はいったい?
久住呂さんが、咲ちゃんが・・・ それだけが頼り・・・
いつか子どもに会えるのか・・・ 子どもを受取人にして保険もかけた・・
しかし、貯金を盗まれた。保険はどうなる?
希望のない日々・・・
ある日、久住呂さんと連絡がとれた。もしかして・・・
会えるのか?・・・
子どもの叫びは・・・
そして大阪にもいられない。
元受刑者の烙印はどこまでも・・
今更の電話は?
晴子おばさんの家の庭の柿の木は実がなって・・・熟して・・・
とても哀しい。
不条理さに涙する。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ。

「楽園の楽園」

伊坂幸太郎

あじあん

「人はどんなものにも物語があると思い込む。きっとあなたもそのひとり」

とても面白い。
今、世界であらゆる問題、災害、混乱が起きている。
大停電、感染症、大地震などなどだ。
これは自然に起きたことではない。
AIが引き起こした? 「天軸」と呼ばれる人工知能が引き起こした?
五十九彦と三瑚嬢と蝶八塊が選ばれた。
きっと「天軸」になにか不具合が。その原因をつきとめなければ。
いずれにしろ、「先生」の活躍がなければ、20年後の世の中なんてどうなっていたのかわからない。
何としても先生を見つけて、この問題を解決しなければならない。
「先生」が開発 子供の不始末は親が責任をとらなくてはいけない
三人は垂直離着陸機を操縦して出発した。
たったひとつの頼りが先生が描いた水彩画、「楽園」。
たまたま、無人の輸送機が墜落し、位置情報とまわりの景色を発信。その情報とこの絵の景色が一致するのだ?
三人にはそれぞれ、特殊な能力がある。
はたして、その能力を発揮して目的をとげることができるのか?
とても面白いワクワク。
巨大な樹を見つけた。パラシュートがからまっていた。
この樹は何? なんだか途方もないパワーを感じる。
生命の樹と知恵の樹?
人間は何にでも理由を求める。
森の中に小屋があった。端末と空間ディスプレイ、女性の立体画像。
これは「天軸」なのか?
しかし、なんだか異様な空間が・・・。
「天軸」がもたらしたのはユートピアではない?
もしかしたら、ここはディストピア?
もしかしたら、生命の根源から反撃ではないのか?
NI ネイチャーインテリジェンスなるものが動き出したのではないのか。
アダムとイヴを作ったように。
オナモミの実、ひっつき虫がその使い。われわれは自然の力に操られている?
とても面白い。
ええですなあ。こんな話。
わしは好き。
わしらの現実世界はどうなるんでしょうな。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ半。

あじあん

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