「ロブスター」。
篠田節子 著
私はここで人生の終着点を見つけてしまった。
この著者の海外を舞台にした作品、いくつか読んできた。
わしは大好きだ。実在する場所かどうかは別にして、なんだか、その地に旅したような、行ったことがあるような気持ちにさせてくれる。
行ったことがあってもなくても、旅好きには楽しいのだ。
ワクワク、ドキドキが増幅される。
今回はオーストラリア。
寿美佳は清掃会社で3年、必死でバイトして奨学金を返した。いよいよ自分の将来を切り拓かなければ。生きるために。
目指すはフリーのジャーナリスト。
しかし、なんのツテもない。資金もない。今はただのネットライターであがいている。
資金稼ぎのネタをさがすうちに、ある案件に行き当たった。
オーストラリアの砂漠の奥にある鉱山では、強制労働が行われているらしい。行き場を失った人たちなどが、収容されて過酷な環境で逃げることもできず苦しんでいるという噂。
日本人もいるという。ネットで見つけてインタビューをした。
これだ。これがネタになる? 潜入取材ができないか?
さらに、そこに、あるアメリカ人研究者も囚われていると言う話を聞いた。
その救出もできたら大きな成果とお金が・・・・
ある大統領の時代に、ある研究が当局の進化論狩りみたいな扱いをうけ、オーストラリアに逃れた。その後行方不明。どうやらその鉱山に監禁されている・・・
その情報と救出の依頼も取り付けた。前金ももらった。
そして、潜入へ。
AIとロボットと無人車、ドローン・・・
60℃を超える超過酷な世界。どうやって行く。
意外と簡単?
鉱石運搬車に乗せてもらえる?
そして採掘場へ。どうやって会える?
意外と簡単?
そこにあったのは?
意外な・・・
過酷な環境? もちろん。 過酷な労働? もちろん。 食事? 味はともかく必要十分。
???
私は救出に来た? 必要ない。
何故か?
とても面白い。
意外な展開。超過酷な環境に身を置く理由? そうしたい自由?
2000人以上もの人を殺した男が背負う闇とは。
とても面白い。
ここは見捨てられた場所、そして、途方もなく自由な土地――
わしの勝手なおすすめ度。
星四つ。
「ノイエ・ハイマート(NEUE HEIMAT )」。
池澤夏樹 著
ある日、難民になる。「新しい故郷」を求めて、歩き出す。
戦争や暴力、迫害に国を追われ、難民となる人たち。
シリア難民の中に身を置くフリーのジャーナリスト。自分のパスポートや身分証は正規のものだ。安全な日本にいるジャーナリスト。
彼らの目で、語られる難民の姿。
さまざまな形での難民たち。
船で、トラックで、過酷な旅をして、国境になんとかたどり着く。
ヨーロッパの大抵の国は一旦受け入れて、保護してくれる。
それは、一定期間で国を出て行くことが条件だ。ボランティアたちが面倒をみてくれる。
そして次の国境へ。
そういうビジネスがある。
トラックを手配してくれる。お金は先々で支払うけど、たくさんのお金を持ち歩くと強盗に遭う。
行く先々で、親類縁者から送金を受ける必要がある。
そんな旅だ。
難民の実態がよくわかる。
わしらもいつ何時そんな状態にならんともかぎらない。
身につまされる。
あってはならないこと・・・
しかし、この本、なんだか物足りない。
もっと凄まじい実態があるはず・・・・
ちょっと肩透かし。
シリア、トルコ、アフガニスタン、イラン、イラク、イスラエルなどなど、
アラブのいろんな国のいろんなこと、知らないことがいっぱい。
教えてほしい。
わしの勝手なおすすめ度。
星三つ。
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