最近読んだ本、「サロメの断頭台」、「土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話」

  • 2025年6月17日
  • 10人

「サロメの断頭台」

夕木春央 著。

あじあん

天才画家が残したものは何か? サロメの首か? そして盗作か? 贋作か?

深江龍紅は知る人ぞ知る天才画家である。しかし、人気を博す、絵を売るなどには
極めて無頓着で郊外の荒屋に妹とひっそり暮らしていた。
しかし、ある日、その妹が行方不明。警察に捜索願いを出すが、見つからない。
彼は悲嘆のあまり自殺してしまった。
比肩するもののないほど美しかったという彼女はいったいどうしてしまったのか。
それからしばらくして。
ある日、画家の井口朔太のところに、オランダ貴族の末裔というロデウィック氏が訪ねてきた。
昔、彼の父が手放した置き時計が井口のところにあると聞いてわざわざ日本まで買い戻しにやってきたのだ。
その時に、彼の作品を見ていたく気に入ったのだ。
20号のキャンパス。直線的な幾何学模様の柄の燃え立つようなオレンジ色の洋服を着て立つ女
殆ど後ろ姿。表情はわからない。これは見事。素晴らしい。
是非、売って欲しいという。しかし、彼はその絵を見たことああるという。本当にこれは彼のオリジナルなのか? それを証明して欲しいという。
以前、井口が無理に頼み込んである女優の絵を描かせてもらったというやつだ。
なぜ、そんな偽物が存在するのか?
さて、おなじみの蓮野氏登場。
美しい青年だ。しかも元泥棒。
明後日、彼の退所(どこから?)のパーテイがある。
そこに集まる人から、何かヒントを得られないか?
そこで何が起きるか?
井口の姪、峯子はカメラの修行中。
ある日、ふらりと郊外に。ある家が目についた。
サロメが殺されている。
世にも美しい女。胸に短剣が。
そして白鴎会、井口たち芸術家の会だ。
そこで、恐ろしいことが起こる? 主催の宮盛が・・・・
「サロメ」の劇中の扮装で・・・・
一体何が起きているのか?
盗作者をさぐる手立てがあるのか?
その上、贋作者たちの存在が・・・
盗作か、贋作か・・・・
「サロメ」の紛争の意味するものは・・・・
とても面白い。
この人の作品は、前に「時計泥棒と悪人たち」を読んだことがある。
連作てきな内容だ。
とても大正。いい雰囲気。
まったりしてる。
きちんとしたミステリー、話の展開はスピード感があって、新鮮な驚きがある。
ワクワクもある。
そして、読んでると、全体になぜか、大正ロマン的な、古き昭和のノスタルジー的な
感覚に誘われてしまう。
とても良い。
さて、事件はどうなるのか?
意外な結末に向かってまっしぐら?
ええですなあ。

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ半。

「土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話」

 

ディビッド・モントゴメリー 著

あじあん

足元の土と微生物をどのように扱えば、世界中の農業が持続可能で、農民が富み、温暖化対策になるのか。

とても素晴らしい本だ。
今、令和の米騒動が起きている。
新農林大臣が大活躍。備蓄米の流通やら売り方、ブランド米の高値つりあげやら、
いろいろ思惑が錯綜して大混乱。
元々は、日本の農業の疲弊から始まってる。
高齢化がどんどん進んで、厳しい農作業が続けられない。
大規模集約的な農業はなじまない。
農業政策はうまくいってるのか?
この本では、不耕起耕作を謳っている。
不耕起とは、耕さないということ。
刈り取った、押し倒した植物や有機物などで土を覆ってしまう。
腐葉土とかマルチとかいわれるやつ。
それが、微生物と助け合って土を活性化する。
そこに蒔いた種や苗がその微生物の助けで芽を出し、実を実らせる。
基本的には肥料をやらないでも、耕して肥料を入れた土地以上の収穫を得ることができる。
なんとすばらしいではないか。
土地は耕せば、かならず疲弊するという。
肥料をやらなければ自力で草木を育てられない。
しかし、有機物で被覆することで、水分を蓄え、微生物を繁殖させることができる。
それが、草木を育てる力になる。
なんと良いことではないか。
大規模な機械農業をやらなくても、収穫量を確保できて、農家が食っていける。
土地を痩せさせず、土砂の流出などを少なくすることができる。
理論だけでなく、実践して成功してる人たちが沢山いる。
知識と経験が必要みたいやけど、荒唐無稽な話ではなさそう。
なんだか良い未来も見えてきそう。
こういう考え方がもっと広まって、認知されて、実行してくれる人たちが
増えることを願うばかりだ。
我が家にも小さな庭がある。
耕さず、取った雑草や木の葉は敷いて、木や花や野菜をちょびっと植えて、
楽しんでみようと思ってる。
学術書的、啓蒙書的な本やのに、夢中で読んでしまった。

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星五つ。

あじあん

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