「4321」
ポール・オースター 著
一人の人の四つの物語。波瀾万丈也。
これは素晴らしい。
大家、ポール・オースターの大長編。
長い、とにかく長い。読んでも読んでも減らへん。
分厚い。重い。
持ち運びも大変。
でも、面白い。
この歳になって、なったからか、なってもか分からんけど、夜の寝床の中でとか、
昼間ぼんやりしてるときとか、
あっ、あの時に、あの人が言うた言葉はこんな意味やったんか。こんな意図やったんか。
と、ふと完全に理解できた気がする時がある。
なんや、そうやったんか。あの時わかってたらどうしたやろ。
人生変わってたやろか。
少なくとも、もうちょっと何かできてたような気がするけど。
どうなんやろ?
そして、思う。
わしのような平凡な人間の、ありきたりの人生であっても、大きな選択を、
あるいは中位の、あるいはちっちゃな選択をせんとあかんかった時が
一杯あった。
あのときあちら側を選択してたらどうなってたやろ?
それを思うこともよくある。
大金持ちになってたやろか?
絢爛豪華な人生を歩んでたやろか?
やってないからわからんけど、まあ、それはないやろね。
アーチボルド・ファーガソン、1947年生まれ。わしとほとんど同じ。
彼の人生が始まる。
その前に。彼の先祖の話。
アメリカに移住したユダヤ系の家庭の暮らし。
爺さんの苦闘。両親のがんばり。
そしてアーチーの幼年期。
とりたてて波瀾万丈ではない、普通の人生。
淡々と進むけど、筆の力に引っ張られて、どんどん読む。
ええですなあ。
いよいよ思春期に。
ベトナム戦争の時代。公民権運動の時代。
ケネディが。
彼は野球の道に?
ところが、事件が。
雷が。
4→3へ?
彼の人生は? 続く。
野球で大活躍。名選手。だれも敵わない。
の、はずが。大事故へ。指が・・
父と母の問題・・・
大学受験・・・
とても面白い。ワクワク。
これからどうなる?
筆のちからにどんどん惹き寄せられる。
激動のアメリカ。激動の世界。
ニューヨークの暮らし。
とうとう筆を持ったファーガソン。
そして、
3→2
ほとんど気がつかないうちに枠組みが変わってる?
企みに満ちた物語。
この男、何人分の人生を生きるのか。
同じ人格で? 何が起こっても?
これから彼は作家として世に出ることができるのか?
そしてどうなる。
愛する人は? 母は? 周りの人たちは?
わかるようでわからん。
とても面白い。
大長編ではあるけど是非、一読を!
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
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