最近読んだ本、「風よ僕らに海の歌を」、「絵師の魂 渓斎英泉」。

  • 2025年3月4日
  • 8人

「風よ僕らに海の歌を」

増山実 著

あじあん

「あるもんで作るイタリア料理店、アルモンデとは」

あの戦争が宝塚の街に、イタリア料理を運んできた。
「人生で、予想できることがひとつだけある。それは、予想もしないことが起こるということだ」
さあ、食べよう。歌おう。踊ろう。
戦争中にある日、突然イタリアが同盟軍から敵になってしまった。
イタリアが連合国に無条件降伏してしまったからだ。
そして、ジルベルト・アリオッタが乗った軍艦、「リンドス号」は自沈することになった。
乗組員は捕らえられ収容所に。
在日イタリア名誉領事の尽力で釈放された。
そして、宝塚の街にレストランを。
物資のない時代だ。「あるもん」で工夫して、料理をつくる。
心のこもった料理とシチリアのスピリットが美味しい料理となって、評判を得る。
少しずつ。
そして敗戦。
宝塚の街は変わっていく。
米軍が入ってくる。少女歌劇はなくなった?
故郷シチリアの街の妻や子も亡くなったと聞いた。
激動の戦後に翻弄されながら、時が流れる。
とても面白い。
家族たち、こどもたち。
時代は変わる。時は流れる。
「あるもん」でつくる、自慢の料理は?
リストランテ、アルモンデは?
とても面白い。
故郷シチリアは彼らを呼んでいるのか?
彼らを待っていたものは?
数奇な運命を追う。
とても面白い。

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ。

「絵師の魂 渓斎英泉」。

増田晶文 著

あじあん

「淫画の類に手を染め、放蕩三昧の痴れ者とは」

江戸時代。浮世絵の時代。
文化爛熟のなかで、絵師たちがアイデアを競う。
人目を惹く、心をつかむ。
そしてバズる。
誰もが、つぎはわしやと意気込んで。
現れては消えていく。
とても難しい世界だ。
美人画、役者絵、大首絵。
斬新なアイデアが求められる。
渓斎英泉、武士家の生まれである。
しがない武士の家では、何かしないと食っていけない。将来もない。
絵をならってみたら、意外と才能があるのか・・・
しかし、、父が亡くなった。しかも、勤めを首になった。
長いものに巻かれたくない性格がわざわいしたか。
義理の母と妹二人。食っていかんとあかん。
果たして絵で食えるのか?
美人画を描く。もっときわどく・・もっと危なく・・・もっと妖しく・・
いわゆる春画というやつ。
淫靡で妖艶ではあるが、下品ではない。
巷の評価は高い。
しかしこれでいいのか? わしの本来の目的はこんな絵なのか・・
本当の憧れは、理想は、北斎のみ。
画狂老人卍北斎。彼の発想、彼のパワー、彼の画力、とんでもないやつだ。
もっと足掻かねば・・
歌川一派には負けたくない。広重なにするものぞ。
渓斎英泉の、作品って全く知らんかった。
なんだかとても魅力的だ。
衣装がいい。豪華で緻密、品がある。線がのびやかで迷いがない。
力強い。顔や肢体、とてもシンプルなようでいて表情がある。
妖艶な魔力が潜んでいそう。
とても良い。
しかし、いっとき売れてもまた飽きられる。
今でいうバーみたいなのをやってみたり・・・
あげくは遊郭みたいなのをやってみたり・・
滝沢馬琴の挿絵を描いたり・・
多芸ではあったけど・・・・
さて、彼の運命は?
とても面白い。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星四つ。

あじあん

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