「なれのはて」。
加藤シゲアキ 著
男は火を宿していた。瞳に、胸に、魂に。
街が燃えていく。
人が燃えていく。
少年はそこにいる。
男はただ、水芭蕉の咲く物語のなかにいる。
なんだかカッコいい? 思わせぶり?
自閉症的な体質をもってる人と芸術的な才能が関係あるような話をよく聞く。
こないだ読んだ本にもそういう人が出てた。目の前にある映像を細部に至るまで一瞬で記憶する。そして、それをなんの苦もなく、細部に至るまで詳細に再現してみせる才能だ。
天才的だ。
そういうのではなくても、絵を描いてみれば、とても新鮮な視点、大胆な発想、意表を突く表現で、絵を描く人たちがいる。
中には、自閉症の人って言われる特質を持ったひとたちもよくいるらしい。
こないだベトナムに旅に行ったときに、そういう子供たちが描いた絵をプリントしたバックやら帽子やらの雑貨品を売ってる店を見つけて、とても感動したことがある。
いろいろ買って帰った。
報道部門で活躍していた守谷が、ある事情で配置換えになった。もうダメかもしれん。
イベントの企画などをする部門だ。
相棒は妻季久美。
ある日、吾妻が言い出した。
この絵でイベントを企画するのが私の念願だ。
スマホの写真をみせる。
なるほど、この絵か。それは手に羽を持った少年の絵だった。
ISAM.INOMATAと署名がある。
聞いたことがない。調べてもわからない。
企画はこれだ。
無名の天才「イサム・イノマタ」~たった一枚の展覧会~
きっと成功する。とてもそそられる。企画書を書こう。
しかし、著作権者がわからない。
果たしてイサム・は存在するのか。
もし、亡くなっているなら相続者は? あるいは相続者もなくパブリックドメインになっているのか。
調べなくては。
とても面白い。
舞台は秋田に。作家の痕跡が・・・
ある火災事故で行方不明に・・・・・
本当に事故なのか? 謎が謎を呼ぶ・・
作品は一つだけなのか?
作家は何を描きたかったのか?
少しずつ真相に迫る・・
とても面白い。
彼が辿り着いたものは?
彼らが見つけたものは?
彼が残したものは? アクリル絵の具の秘密?
とても面白い。
わしの勝手なおすすめ度。
星四つ。
「われは熊楠」。
岩井圭也
紀州の奇才、天才の物語。
わしの住んでる九度山にとても珍しい木がある。
「樗」というらしい。
6月中頃に花が咲く。紫色の上品な花だ。小さいけど大量に咲く。そして、えもいわれぬ香りがする。高雅な香りと言っても良い。
素晴らしい。
栴檀は双葉より芳しいの栴檀の仲間らしい。
横にあった看板を見たら、南方熊楠がこよなく愛した木だと書いてあった。
なるほど、前に田辺にある熊楠邸跡の記念館に行ったら、さらに大きい樗の木が植っていた。
亡くなる時にうわごとでこの花のことを言ってたらしい。
この時に、彼が住んだ家を見て、庭を見てとても感動した。
庭がすばらしい。結構広い庭である。しかも造園家による作庭のようなことを一切やってない。
詫びも寂びもない。池も滝もない。
けど、全ての植物が調和して自然にイキイキとそこにある。
なんだか満ち足りた気分になる。
行き年生きるものへの愛情を感じる。そんなところだった。
「縛られた巨人 南方熊楠の生涯」という神坂次郎の本を読んだことがある。
わが郷土の偉人。不運で不遇の天才。ちょっとした変人である。奇人でもある。
しかし、波瀾万丈の生涯、己を貫いた。
この本も、熊楠の物語。
和歌山弁を強調してる。合うてるんかな?
なんだか、ちょっとしっくりこない。
脳内の声とか、死んだ人との交流とか、
むりやりなとこを感じたりする。
楽しみに読んだんやけどねえ。
わしの勝手なおすすめ度。
星二つ半。
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