「千客万来」
今年は、鶯がよう来る。よう来て鳴いてはる。
とても良い。
朝からホーホケキョ・・ええですなあ。
昼にもホーホケキョ・・ええですなあ。
夕方、ホーホケキョ・・ええですなあ。
なんだか1日鳴いてはる。
伴侶を呼んでるのか。ナワバリにちかよるヤツを威嚇してるのか。
わしにはのんびり、のんびりと唄ってるように聞こえる。
いつもは、ウォーキングコースで、山の上のお寺や神社の境内で聞くことが多い。
今年は、町の中のあちこちで聞く。
気候のせいなんかなあ。
ええことだ。
今年もツバメが子を産んだ。
何年か前に、カラスに巣を襲われて、子どもが死んでしまったことがあった。
その翌年は来なかった。
しばらくしたら、また来るようになった。
とても嬉しい。
見上げたら、ちっちゃな巣のなかでちっちゃなやつが口いっぱい開けて、親から餌をもらってる。ピヨピヨ声が聞こえてとても可愛い。
しかし、ツバメはとても繊細だ。じっと見てたら気配を感じてすぐにいなくなる。
さわったり、何かしら変なことをしたら、子どもをおいていなくなる。
そっとしとかんとあかんのだ。
今年はなんだか、子どもも巣を作り始めた。ようわからんけど。
一生懸命庭で材料を調達してはる。可愛い。
ある日、おおきなムカデは家の隅におった。
必死で、バタバタして、出て行ってもらった。
怖い。かなわん。
アリやら、ゴキブリも要注意。
ゆだんしたら、いっぱいいてはる。通路を断て。
庭にヘビ。
いややなあ。
なんだかんだで田舎暮らしはええもんだ。
「目迷五色」
旅行に行ったら、がっかりしたというのはよくある話だ。
日本3大ガッカリってどこやった? 世界のガッカリってあるの?
まあ、勝手に期待する方が悪いんかもしれん。
わしは、昔から、中国の古い文化がすきなんでよく中国に旅に行ってた。
いまでも行くけど。
自然現象でしかたない場合もある。
例えば、廬山の滝。
李白の有名な漢詩がある。
望廬山瀑布
日照香炉生紫煙
遥看瀑布掛長川
飛流直下三千尺
疑是銀河落九天
廬山の瀑布を望む
日は香炉を照らして紫煙を生ず
遥かに看る瀑布の長川ちょうせんを掛くるを
飛流直下三千尺
疑うらくは是れ銀河の九天より落つるかと
カッコいい。勇壮な詩だ。
廬山に旅した時、絶対これを見たいと思った。しかし、行ってみたら殆ど水がなかった。
渇水期だったそうだ。「飛流直下三千尺」が見られへん。哀しい。なさけない。
中国人のガイドさんにこの詩を北京語で朗詠していただいた。
とても美しい。とてもカッコ良い。
それでがまんしよう。
ついでに香炉峰にもがっかりした。
白居易の詩に有名な香炉峰のやつがある。
こんな句が入ったヤツだ。
遺愛寺の鐘は枕を欹てて聴き
香炉峰の雪は簾を撥げて看る
枕の草子にも出てくる。教科書にも出てくる。
廬山ではこれも見たかった。たしかに香炉峰はあったけど、なんだかただの山だった。
風雅さはカケラもない。
あいそなし。
よく似た現象。
貴州の黄果樹瀑布を見に行った。
ナイヤガラにも負けへん大瀑布って聞いてたんで勇んで見に行ったけど、この時も渇水期。
滝の裏まで遊歩道がある大規模さやったけど、水はしょぼいもんだった。
しょうがない。
こんなんは自然現象やからしょうがない。
他のガッカリもあるぞ。
昔の文化の名残を残す遺跡やと思って行ったら、殆どなんもない。ほぼ朽ち果てた感じ。
こうやって消えていくのかと嘆きつつ見た歴史の遺物。
次に行ったら、えらい立派な建物が建っている。周りには昔を偲ぶ古民家街もできてる。
遺跡の名前が巨大は岩に朱書きで刻まれ、縁の偉人の像が。
何だかな。
こういうのは考え方の違いなんやろね。そのまま時間と歴史で摩滅した風情をのこすのがいいのか、昔の偉大さを復活した方がいいと思うのか。
わしは前者やけどね。
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