最近読んだ本、「岬」、「一線の湖」

  • 2024年3月17日
  • 37人

「岬」

中上健次 著。

あじあん

熊野の山と海。血と性と貧困と暴力と差別。

・岬

秋幸は母と、母が再婚した義父の家に暮らしている。土方仕事の毎日。親方は母が前夫とのあいだにもうけた異父姉、美恵の旦那。

実父がいる。母が、前の夫と死別し今の義父と再婚する前に付き合った男、あくどい男だ。

火付け男? 他人の物を奪うのに躊躇いがない?

子供の頃自殺した異父兄がいた。母と母の前夫のあいだに生まれた子で、母の再婚が原因らしい。家族、皆のトラウマになっている? 今の秋幸の歳、顔もそっくり?

土方の組には、乱暴者の安雄がいる。親方の妹、光子の男だ。

ある日、安雄が古市を刺した。親方の兄だ。すぐに捕まった。

姉、美恵はとうとう寝込んでしまい、もしたしたら発狂したか?

なんという血の交わりの地獄か?

お前たちが犬のようにつがって滅茶苦茶やって、複雑な血縁をつくり、そのツケが子供に来ている・・・・・

他所とは隔絶した熊野の山と海。血と性と貧困と暴力と差別。

ドロドロの不条理。

すごい世界だ。筆の力にぐんぐん引き寄せられる。

義父兄を返せ・・・ 狂った姉元にもどせ・・・

「あの男」はいったい何だ・・・

すべての源は「あの男」なのか・・・ 「あの男」の血なのか・・・

新地の娼婦とは・・

異母妹と・・・

熊野の土地と空気が狂わせるのか?

狂った血のせいなのか?

わしの好きな熊野古道の世界、神秘の森と精霊の世界と全く違ったおどろおどろしい世界がここにある。

生々しい。

昔、「枯木灘」を読んですごい人が出てきたって思った。

残念ながらその後忘れてしまってた。

もっと早く読んでおけばよかった。

とても良い。

あじあん

他の収録短編。

・黄金比の朝

受験生 兄がおしかけてきた 学生運動 変な女 顔はわかってる名前を忘れた

会いたいのお兄さんにも 妹にも 恥ずかしい仕事をしてる

探してる トランプ占いをやってる女の人 週刊誌なくした

インバイのクサレオマンコ 読経の声

・火宅

遊郭から常盤町 中地頭にかけて大火事があった。 付け火 佐倉の土地

男は人から恨みを買う佐倉の手下だ 兄は キノエ

男はいつのまにか兄の家に出はいりしだした。そのうち男は、入りびたった。母がみごもった

男は母の他に、2人女をつくり、同時に妊ませていた

かれが12の時、兄は24で自殺した

シャンデリアめがけて椅子をふりおろす

わかってるのなら飲むなあ! なんで暴れるまで飲んでくるう

・浄徳時ツアー

スクランブル交差点で、替えは、念のために数えてみた 関口由紀子を加え彼を加え、ちょうどぴったり18名いた。安堵した。

とても良い。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星五つ。

「一線の湖」。

砥上 裕將 著。

あじあん

小説の向こうに絵が見える! 美しき水墨画の世界を描いた物語

「水墨画の世界」なんて言葉がでると、つい手を出してしまう。

前に、『線は、僕を描く』って本を読んで、ええこと書いてるけど、何だかちょっと違うんよねえって思ったことを忘れてた。

水墨画とは、筆先から生み出される「線」の芸術。

これはそう。

描くのは「命」。

これもそうかもしれんけど、何か違うんよねえ。

青春グラフティということであれば、これは楽しい話。

師=人格、技量ともに道を極めた人?

師弟の関係=高僧と弟子みたいな?

なんだか違和感・・

まあ、なんでもいいけど、スランプを乗り越えて頑張っていく・・・

若者よ頑張れ・・・

そういうもんですなあ。

 

 

あじあん

わしの勝手なおすすめ度。

星二つ半。

あじあん

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