本、「李世民 上、下」を読んだ。

  • 2013年6月21日
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塚本青史、「利世民、上、下」
かなり前に、山西省めがけて旅行したことがある。最初に北京から大同に飛ん
で世界遺産の雲崗石窟を見た。それから懸空寺と言う崖の上にへばりついた寺
を見て、中国最古の木塔を見て五台山に向かった。これだけでも相当な距離を
移動したことになるけど、あろうことかそこから更に太源近くの平遥古城まで
長躯、一日で移動してしまったのだった。着いたら深夜12時をまわっていると
いう強行軍で、運転手にわしゃあこんな運転いやや、やめさしてくれって随分
文句を言われながらの旅だった。
それでも城壁に囲まれた昔ながらの街、平遥古城は今まで行った中国の旅の3
指に入るほど素晴らしいところだった。
どんどん前置きが横道にそれていくが、この「李世民」と言う話、隋を滅ぼし
て唐という国を起こした男の話だ。この李一族が、隋王朝末期にこのあたり一
帯を根拠地にして勢力を伸ばし、やがて隋王朝を滅ぼすに至ったのだ。
だから、この山西省の地を巡って、高句麗との戦いや、突厥との戦いに遠征す
る話や、この地での内乱の話などで何となく地形や土地柄が思い浮かぶのが面
白い。不毛な山々の多い貧しい土地が多かったように思った。
そして滅ぼされる側の隋の最後の皇帝は煬帝だ。これって死んでから付けられ
たおくり名で生きてる時は煬広って呼ばれたのだそうだ。
わたしが知ってるのは、前に揚州に行った時、あのあたりの運河を作って長江
を一大流通路に仕上げた超名君だったと言う話やけど、いつのまにか酒池肉林
におぼれるようになって、南京や揚州あたりで稀代の悪王として滅びてしまっ
たのだ。
それであの世界帝国、唐ができた。
都は長安だ。今の西安。ここも行った。
阿倍仲麻呂の記念碑も見に行った。遣唐使の活躍の跡なのだ。
空海も行った。
日本人には懐かしい土地であり、懐かしい時代だ。この地で科挙の試験を受け
て大臣になった人もいるではないか。
世界のヒトモノカネがここに集まってきた時代ができたのだ。
この本の話は、唐が面白くなっていく前段階のあたりの話だ。
国を滅ぼし、国を創る。そういう強烈な時代の話はわくわくどきどきで非常に
面白い。
下巻になると創った国をまとめていく話で、面白くもあるけどちょっとしんど
い時もある。やっぱりお父ちゃんがりっぱやと子供にいろいろ問題が起きてし
まうんやね。どこの世界でも同じなのだ。
中国の王朝の変遷について思ったのは、前の王朝を滅ぼして王朝を創る時、何
故か帝王になれる家柄となれない家柄があるようなのだ。力さえ強ければ後で
家柄なんか何とでも言ってしまえばしまいやんかと思うけどそうでもない部分
もあるようなのだ。不思議や。ようわからん。
それに、この時代まで引きずっている教養というのは陶淵明を読むことやなん
て凄いなあ。女性が学問をして教養を積む話もでてきた。日本の平安時代と似
たようなことやったんやろか?
いろいろ中国と日本を思い浮かべながら楽しませてくれる本であった。

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ありがとうございました。