四文字遊び。暗中模索、毀誉褒貶、曲肱之楽、生々流転。

四文字遊び、四文字熟語で遊んでみた。

 

暗中模索。

 前の家に住んでた頃の話だ。

偶々、深夜まで起きてた夜の事、1時過ぎか2時頃か、玄関の扉をホトホトと叩く音がする。何やろ、誰か来てるみたい。

恐る恐る扉を開けると、全然知らない老人が立っていた。

「家に帰ろうと思うんやけど、どっかわからへん」と言う。その頃はまだ老人が具合悪くなったら徘徊することがあるなんてことをあんまり知らへんかった。

いろいろ聞くけど、家はわからへん。そう遠くはなさそうやけどしかとはわからん。一緒に探しに行くと言うのはこちらも不安だ。やむなく警察に電話しておまわりさんに来てもらった。後で聞くと、家から数百m離れた住宅街の中の家だったそうだ。無事にわかってよかった。

別のある日、隣に住んでいて、老齢になったんで息子さんの家に引き取られてはずのお婆さんが、近くを彷徨いてるという知らせがあった。親しかった人なんでとりあえず家につれてきて、息子さんに連絡をとって迎えに来ていただいた。随分遠くから電車に乗って来はったみたい。何となく電車や土地勘が体に染み付いてはったんやと思う。

歳をとるのが怖いなあ。

酔っ払って、マンションの違う階の同じ部屋に入ろうとして深夜に大騒ぎなったという話なんか可愛いものではないか。

あじあん

毀誉褒貶。

 まだ都会に住んでた頃、夕方のウォーキングで結構大きな車道の横を歩いてた。

なんだか軽自動車が道端に止まって、人だかりがしかけてる。近寄ってみると事故らしい。起きたばっかり。

どうやら、子どもが飛び出して来たかなんかで、その軽自動車の下敷きになってる。

幸い、血が流れてないし、詳しくはわからんけど、大怪我をしてるわけでもなさそう。でも体全体が横倒しで車に挟まって動けないみたい。みんなで車を持ち上げてみようとするけど重くて動かない。もちろん、すぐに手分けして警察と救急車に通報はした。

さて、どうしよう。見てたら、運転してはった女性が運転席に腰掛けて携帯電話で話込んではる。

「それはないやろ」、ちょっとムカッときた。子どもを下敷きにしたまま電話するって、いくらなんでも無神経とちゃうやろか。思わず、「降りて下さいよ」って言ってしまった。わしらではどうしようもないんで救急車がくるまで待たんとしょうがない。子どもは不安そうだ。その場に居た女性が、子どもの手を握って、「大丈夫よ、おばさんが手を握っといてあげるから」って励ましてる。ええ人やなあ。見てて涙が出そうになる。

やっと救急車が来た。隊員が簡単に事情を聞いて、子どもの状態を調べる。頭のところをさぐって、クイっと横向けたら、体をグイッと引っ張る。それでスルッと外にでた。今から思えば、怪我なく済んだのは奇跡的なはずみやったんやろね。

えらいもんだ。わしらはみんな動転してて、そんなことなんかと気がつかへんかった。

でも良かった。集まってた人の情けがとても気持ちよかった。

運転手は最低やねえ。

あじあん

曲肱之楽。

 田舎暮らしを始めてから結構月日が経った。

最初は楽しいことばっかりの気がしたけど長くくらすといろいろある。知らん土地に急に来て暮らし始めたら、やっぱりなかなか受け入れてもらい難い面がある。

元々、子どもの頃は父親の仕事の関係で転勤ばっかりやったから、わしには故郷は無いのだ。

それはともかく、良い面は沢山ある。周りが自然に溢れてる。季節の食べ物がいくらでもある。それに、薪用のピザ窯を作ったんで、焼いて遊ぶ楽しみもある。400℃の高温でジュっと数秒で焼けるピザはとても美味しい。

もう一つは自作の燻製機だ。木箱と電熱器と温度コントローラを組み合わせて、温度管理のできる燻製機を作ってみた。温度コントローラはチャイナ製の怪しいやつやけど、今のとこちゃんと動いている。桜のチップは大量に近場で山を持ってる人から頂いた。これで、魚やイカやタコ、チーズ、ホタテ、牡蠣など、手当たり次第に燻製にするととても良い酒のアテができる。夏場は難しいけど、冬場はいつでもOKだ。少々手間がかかるけどそれもまた楽しみだ。

じんわりと煙が通った牡蠣の肴にしみじみと酒を飲んでたら、こういう暮らしもええもんだと思う。

あじあん

生々流転。

 この話は一生忘れられへんやろなあ。

ある大雨の日の事。出先から家に帰る途中であった。いつもの道は踏切があってえらい混んでそうだった。それでいつもとは違う道に行った。そこは踏切はないけどアンダーパスになってて、雨の日は水浸しになることもよくあるところだ。残念ながらその日も雨のせいで通行禁止だ。やむなく又元に戻る。踏切まで出た。一番先頭でそれが下りた。しゃあない。長くなりそうだ。電車が行ったり来たり。なんだか踏切の向こう側が変だ。

誰か中に入ろうとしてるんとちゃうやろか? 思わず車を降りて何とかしようと思う。しかし、その間もなく電車が迫って来た。

間に合わん。

その人は遮断機の下を潜って前に出る。

あかんがな。

目の前が真っ白に。

えらいことになってしまった。えらいもんを目撃してしまった。

すぐにそのまま警察に電話する。

もちろん踏切は上がらへん。当分だめやろ。わしも、周りの人もUターンして別の道へ。

目に焼き付いた景色は消えへん。体がガクガクや。

あれから何年も経った。知り合いも沢山いなくなった。わしも遠からずではなかろうか。生死の事もだんだんと淡白になってくる。

その日を心おだやかに迎えられたらうれしいけどね。

あじあん

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