どうも最近メガネケースの締まりが悪い。どうしたんやろって思ってよう見たら
口金の根元、開閉の支点になるところが壊れていた。自分で治そうとペンチで
押さえてみたけどうまいこといかへん。ハトメを買ってきて加締めたら行けそう
やけどこのために道具を買うきもしいへん。
まあ相当痛んでるんでそろそろお終いかなっていうのもちらって考えたけど、
これには結構愛着がある。
印傳と言って、鹿革を加工する甲州地方の伝統の技術があって、このメガネケース
の場合は燻した鹿革をつかっていて微妙な色合いが気に入ってるんやけど、こんだけ
使いこんだら色合いかしみかわからへんくらいだ。
しかし、これを使い始めてもう10年以上にはなるやろと思う。モノを無くす
名人のわしにしては長く持ったもんやと感心する。わしは思い切り老眼やから
書類やらメモやら本やらなにか小さいモンを見る時はかならずメガネが要るのだ。
そやからそのタイミングで慌てた時に無くすことが多いはずだ。例えば中国の
蘇州であるホテルに泊まった時、どうやらチェックアウトする時メガネを出し
たらしいんやけど日本に戻るまで気いつかへんかった。幸い、仕事で出張中の
事やったんで現地の駐在員の人に連絡したら、ホテルに保管していてくれた。
忘れ物がなくなれへんのは日本だけの美点とちゃうんやと感心した。日本でも
外国でも皆で行ったカラオケで歌を選ぶのにメガネが要る。薄暗いんで帰る時
にころっと忘れるというのはよくあった。香港でも翌日慌ててもらいに行った
という事もあった。飲み屋さんに置き忘れて翌日仕事の帰りに貰いにに行った
というのもしばしばで使う時に無いんで始めて気がつくんやけど要る時に無い
と自分が悪くても腹が立つんでも困ったものだ。
そんなこんなでわし以上にあちこちを旅したかもしれんメガネケースを今更捨て
られへん。そや、買うたとこに持って行ってみようと気がついて、心斎橋にある
印傳屋さんにに行ったら、「これは金具取り替えですね」というんでギクッと
なったけどそれも当然で、それができるならむしろありがたい。しかもリーズナブルな
値段でやってくれることになったんでありがたい。
後日連絡が来てもらいに行った。
びしっと治っている。有難い。
メガネを保護するケースというだけならメガネ屋さんが無料でくれるプラスチック
のケースが一番いいと思う。しかし、かさばるし形がおもろない。そっちが大事だ。
おもろないもんは出来れば持ちたく無い。
こっちはふにゃっとしてるんで鞄の片隅に強引に入ってしまうし、柔らかいんで
持ちやすい。そやからつい乱暴に扱ってしまう。メガネがケースからはみ出し
てるのはよくある事だ。
まあ屁理屈はどうでもええけど治ってきたのは有難い。折角やからこれからも
大事に使おう。
しかし、携帯のメールみるのも、本屋で立ち読みするのもメガネケースからメガネ
をださんとあかんというのは難儀なもんだ。歳はとりたくない。
メガネケースと同じくらい長く使ってるのが印傳の小銭入れだ。
こんだけ長く使っても目立った傷みは少ない。なかなか優れものやと思う。
こっちも大事に使おう。
日本の伝統工芸ってええもんやね。
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ありがとうございました。