最近の作品。「春雨や」、「さくら狩」。

前回は、芭蕉の「奥の細道」のいくつかの場面をオマージュした作品を紹介しましたが、今回は与謝蕪村の句の心を描いてみたやつです。

 

 
あじあん

「春雨や」。

紙本、22×27.3cm。 蕪村の句。

春雨やもの語りゆく 蓑と傘

春雨やもの書けぬ身のあはれなる

はるさめや暮なんとしてけふも有

の2種に続く句である。

雨の中、爺さん2人がもそもそと喋ってるような、佇んでるだけのような。

何となく絵になるような景色がうかぶ。

まるで、漁樵問答図のような、寒山拾得図のような。

なんかありそうで、なんもない、諧謔の世界でもある。

蕪村の絵には、時々片隅に、こういう人たちが登場してる。

 
あじあん
わしにとっては、雨をどう描くか、それが問題ですなあ。

 

 
あじあん

「さくら狩」。

紙本、22×27.3cm。

蕪村の句。

さくら狩 美人の腹や減却す

なんとなく、けったいなようなユーモアたっぷりなような、いかにも蕪村というような句やと思う。

これは杜甫の次のような詩が土台になってるらしい。

曲江 杜甫 一片花飛減却春 一片の花飛んで 春を減却す 風飄万点正愁人 風は万点を飄(ひるがえ)し 正に人を愁えしむ 且看欲尽花経眼 且つ看る 尽きんと欲する花の眼を経るを 莫厭傷多酒入脣 厭う莫れ 多きに傷(す)ぐる酒の脣(くちびる)に入るを 江上小堂巣翡翠 江上の小堂に翡翠巣くい 苑辺高塚臥麒麟 苑辺(えんぺん)の高塚(こうちょう)に麒麟 臥す 細推物理須行楽 細かに物理を推すに須からく行楽すべし 何用浮名絆此身 何ぞ用いん 浮名もて此身を絆(ほだ)すことを

知識と教養があると、気の利いたユーモアがほとばしる。

えらいもんですなあ。

 
あじあん
さくらの花を墨だけで表現できるか、それが問題ですなあ。
 
あじあん

「春宵一刻直千金」。

さて、ついでに春と桜の気分で篆刻をひとつ。3cm角。

「春宵一刻直千金」春夜という蘇軾の詩の有名な冒頭の句だ。

因みに、原文では値ではなく直になっている。

春夜  蘇軾 春宵一刻直千金 花有清香月有陰 歌管楼台声細細 鞦韆院落夜沈沈
 
あじあん
側款のところに、「春雨や」、と「さくら狩」の絵的なやつをほってみた。

 
あじあん
できはよくないけど、まあ、シャレということで。

いろいろ遊んでみる。

あじあんじゃんくしょん
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