鶯がやってきた。春近し。
あいかわらず、晴れた日は、頂いた廃材を切って、せっせと薪ストーブ用の薪を作ってる。
家一軒分、大量にもらったんで、切っても切っても減らへん。
一気に連続して切ってしもたら早く片がつくやろけど、それでは体が持たへん。
毎日、2時間ほど、ちょびっとずつやっていく。
それでもだんだん減ってきたんでありがたい。
そんなある日、結構疲れて、一休みしてた。
なにげなく葉が落ちてしまった柿の木を見てたら、鳥が2羽やってきた。
最後まで残ってた渋柿の実を食いにきたらしい。
ようみたら、羽が緑色だ。これって鶯とちゃうやろか?
仲良く両側から、チチッ、チュンチュンってついばんではる。
とても良い感じだ。
鶯が来てくれるなんて、ゲンがええではないか。
まだ冬やから、啼きはしない。
けど、このままこのあたりに住み着いてくれたら、春にはホーホケキョが聴けるではないか。
楽しみやなあ。
写真を撮ろうとした気配を感じて、さっと飛んで行ってしまった。
そういえば、春になったら時々、鶯の啼くのが聞こえる時が今までもあったけど、彼らやったんかもしれん。
早く春が待たれる。
うぐいすの啼くや小さき口開けて。
与謝蕪村
柳浪聞鶯。
中国に水墨画を習いに行ってた時、住んでたのは杭州市の西湖の畔であった。
学校の寮やから、学校がそこにあるんでそうなった。
とても景色の良いところだ。
毎日、朝晩は湖畔に散歩に行ってた。
西湖には西湖十景というのがある。
西湖を一周する中で、絶景ポイントを十ヶ所選んで、それぞれに4文字熟語をつけているのだ。
いかにも文字の国、中国らしい。
こういうやつだ。
断橋残雪、平湖秋月、柳浪聞鶯、三潭印月、曲院風荷、蘇堤春暁、南屏晩鐘、双峰挿雲、雷峰夕照、花港観魚
その中に「柳浪聞鶯」というところがある。そのあたりが日々の散歩コースであったのだ。
たしかに、柳が美しいところであった。
柳の公園みたいになっていて、そこから湖畔に通じる道がとても良い。
木々の間から鶯の鳴き声が聞こえてきて興趣をそそるという具合になってる。
でも、もしかしたら、スピーカーを仕込んで啼かせてたかもしれんと、いまだに疑問に思ってる。
声はすれども姿を見たことがないからだ。
それでもええ感じは間違いない。
湖畔にくると、塔が見えた。
これが、「雷峰夕照」の雷塔であった。
梅に鶯。
因みに、昔から、鶯と言えば、梅ではなかろう。
花札でも梅に鶯が描かれている。
杜牧の漢詩、「江南春望」は誰でも知ってる。
梅の花は具体的には出てこないけど、梅の花の中で啼く鶯が目に浮かぶようだ。
千里鶯啼いて 緑紅に映ず
水村山郭 酒旗の風
南朝 四百八十寺
多少の楼台 煙雨の中
もうすぐ春ですなあ。
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西湖、「柳浪聞鶯」の地図。