だれも興味ない話をまた一つ。
わしの実家は和歌山県の海南市だ。そこで生まれ育ったわけではないけど、父の職業の関係で、父は警察官だった、あちらこちら転勤くらしやったけど、最後にここに落ち着いたというわけだ。
その間にいろんなことがあったけど、それはもう昔の話だ。
海南といえば漆器の街で知られているけど、昔は、番傘で有名やったらしい。
あちこりの沢山、番傘を作って売るお店があったらしい。しかし、いつの頃からか廃れていって廃業されていった。
もう数十年前になるやろか、わしが、学生時代(多分?)に、最後の番傘店、多分、「片桐傘店?」が番傘をやめるって聞いて、何かの記念に残しておこうと買っておいたのだ。
なぜか、なくさずに今まで持ってた。
番傘って何につかうのか?
もちろん雨の時に役に立つ。
とても丈夫だ。がっしりしてる。竹の骨に紙が貼られてるだけやけど、分厚い紙にしっかりと油引きされてるんでほとんど破れることはない。雨の中であんまり使ったことはないとはいえ、もう数十年も破れずにきた。でもちょっとだけヤバそうなとこがある。
しかし、強い風には弱いかもしれん。コンビニ傘も風に吹かれたらひとたまりもないけど、これも、逆さ向いてしまったら、元に戻るすべはない。
そう言う時は、いさぎよく、傘を守って濡れた方がいい。
番傘ってカッコイイ。
それでも、番傘ってカッコイイ。
と思う。
とても情緒がある。
それに、音がいい。雨が傘にかかるとパラパラと音がする。雨の量によって音が変わる。これが良い感じなのだ。
要するに、台風なんかの時を除いたら実用上も問題ないと言うことだ。
はるか昔から日本人はこれを使ってたんやから当然ではある。
しかし、ちょち嵩張る。晴れてしまったら持て余す。
ちょい恥ずかしい。存在感が強すぎるのがちと、めんどくさい。
てなことで、ええなあと思いつつも、あんまり使ってなかった。
そのうちどんどん古びてくる。
そのうち、朽ちてボロボロになってしまうやろって心配してた。
しかし、これはなんて優れモノなんやろ、油はなくなりつつあってカサカサしてきたけど、紙はしっかりしてる。
ほんの1箇所、1cmほどの破れかけがあるくらいだ。
やっぱり昔の人の技はすごいなあって思う。
番傘の油を塗り直した。
それで、この傘は大事に置いておこうって思ったけど、この油が抜けてカサカサ状態をなんとかせんとあかん。どんな油をぬったらええんやろか?ネットで調べてもあんまりようわからへん。
で、今回、古い箪笥を直した時に、最後の仕上げに亜麻仁油を塗ったときに思いついた。
これを塗ったらええやんか。昔からある自然の油だ。他にもいろんな植物の自然の油があるし、何が正解かはわからんけど、これでもええはずだ。
どうせ、ダメになっても誰も困らへんのやから、やってみよう。
てなことで、塗ってみた。
軽く拭き取って、何日か干しておく。
なかなかええではないか。
これで、カサカサは解消した。防水効果も復帰した。いつでも使える。
こうなったら、ぜひ使ってみたい。
傘で失敗した話。
話は変わるけど、ついこないだ。電車にのって大阪に出ようとした。
ホームに美味しいおにぎり屋さんがある。たまたま、開いてる時間だった。小腹も空いてるし、まちじかんもある。小ぶりのおにぎりをちょこっと食べよう。なんて卑しんぼの虫が騒いだ。
それが大きなまちがい。
ベンチで食った時に傘を横においてしまった。
電車が来たんで機嫌良く乗った。すぐにドアが閉まって発車の合図。
なんかおかしい! 頭のなかで警報がなる。
しまった、傘を忘れた。時すでに遅し、電車が動き始めた。
傘が見えてるというのに、もうだめ。電車は出て行く傘は残る。
大阪では雨が降ってる。やむをえずコンビニで傘を買う。
忘れた傘はどうしたか。おにぎり屋さんに電話してもらって(わしは番号を知らんかった)とって置いてもらう。帰るころは閉まってるんで後日、取りにいった。
てなことで、誰も興味ない、どうでも良いような傘の話でした。