NHKミャンマープロジェクト、『NHKスペシャル取材班、「デジタルハンター」になる』。えらい時代になったもんだ。
いまや、世界中のありとあらゆるところで、誰もがスマホを持って、パチリ、ポチリと写真を撮っている。 ましてや、その場にイベントがあったり、事件、事故があったりしたらよけいその数が増える。 そこにいる人たちが、いろんな視点でいろんな角度から写真を撮る。 もし、それが、データベースとして活用できるなら、いろんな可能性が生まれる。 最近、思うのは、事件があったら、監視カメラの映像が報道で流されている。チラッと犯人や被害者の動きが映像でわかるだけで、何が起きたかを想像させるのにものすごく説得力がある。 これに一般人の映像が加わったら、ますます、詳細になるはず。 べリングキャットと言われる組織が、こういう手法を駆使して、ウクライナ上空で墜落したマレーシア旅客機は実は、ウクライナの親ロシア派が誤射したミサイル攻撃であったという証拠を見つけ出したと言う話をネットで見たことがある。 なるほどこう言う手があるかと漠然と見てたけど、この本を読んで改めてすごいなあって思った。 この活動に賛同する人たちから送られてくる写真(情報)、ネット上に公開されているありとあらゆる写真(情報)を集めて、解析したら、これだけの事実が浮かび上がってくるのだ。 すごい。 そのためには、情報収集の検索と解析を有効に行なうためのツールが必要だ。 それがOSINT(OPEN SOURCE INTELLIGENCE)というらしい。 こう言うツールがネット上に公開されていて、有償、あるいは無償で提供されている。 その使い方は様々みたい。 専門的な訓練を受ければ、そして、ビッグデータなど有効な情報源にアクセスできる人なり組織であれば、今までとは違った。情報を掘り起こせるのだ。 つまり、権力や暴力や、もろもろの力のなかで埋もれてしまった、暗闇を明るみに出すことができる。 こうして、ウクライナの航空機事故の真実が明るみに出ということなのだ。 報道の世界が一気に変わってしまう。 さすが、天下のNHK、ここに目をつけた。 これは、今後の報道の世界に革命を起こすかもしれん。 先駆けて取り組んでみよう。 こういう次第だったのか。ミャンマーのある事件が取り上げられた。 この当時の大きな出来事だ。 軍事政権が再び国を支配してしまった。 それに反対する人たちや学生たちのデモが頻発する。軍が鎮圧に暴力を使う。 世界が注目してる。 そして悲劇が起こった。デモの先頭にいた女学生が撃たれた。 そして亡くなった。 実弾なのかゴム弾なのか? 事故なのか? 狙撃なのか? 軍は白を切ろうとする。それを許さんと、糾弾のためのありとあらゆる写真がSNSに。 しかし、当局はSNSを取り締まり始めた。 こういう状況を背景に、NHKスペシャル取材班が「デジタルハンター」になる取り組みを試みる。 なるほど、こういう苦労があるのか? こういう障害があるのか? それで、結局うまくいくのか? とても面白い。
SNSの情報がうまく活用できれば、今までになかった新しい試みがいろいろできそうだ。 いくら権力があっても、隠し通せないことがでてくる。 天網恢々、闇の中の真実が暴かれて天罰を下すことができるかもしれん。 それは、痛快だ。 ITの世界が急速に安価で高性能になってきたんで、信じられへんことができるようになってきてる。 しかし、いいこともあれば悪いこともありそう。 悪用されたら大変なことになる。 真実にたどりついたつもりで巧妙に仕組まれたデジタルの罠にハマるかもしれない。 普通に暮らしてたら、いきなり、罪に落とされるかもれん。 気いつけんとあきませんなあ。