「樹下昼寝図」。
毎日暑いですなあ。
何もする気がせえへん。
暑気払いになんぞ涼しげな絵でも描いてみよ。
水墨画のテーマでは、大きな木の下で仙人とか高士みたいな人物が佇んでいるのが多い。
うーーーん。
何やらその場の気分やら雰囲気やらを醸し出すような漢詩みたいな、詞みたいなんがあると入り易いんやけどなあ。
てなことで、漢詩の本やら、蕪村の句やら、山頭火など、パラパラしてみる。
パラパラではなんも浮かんで来いへん。
好きな「陸游」の詩でチェックいれたやつを見直してみる。
こんな詩があった。
桐陰清潤雨余天 桐陰 清潤なり 雨余の天
檐鐸揺風破昼眠 檐鐸(えんたく)/風鈴 風に揺れて 昼眠を破る
夢到画堂人不見 夢に画堂に到りて 人見えず
一双軽燕蹴箏弦 一双の軽燕 箏弦を蹴る
この詩にタイトルはない。
結構長い前書きがある。内容は詩とほとんど同じ。
ええ感じではないか。
涼しい風が吹いている。ついうとうとと。
風鈴がリンと鳴った。燕がササッと飛んでいった。
夢か現か。
こんなやつ描いてみたいなあ。
こんなのができました。
紙は中国で買った画仙紙。ちょっと厚めのやつ。
大きさは、横68cm、縦35cm。半切の半分。
墨は最近友人からいただいたやつを試しに使ってる。
これで気がついたんやけど、墨を換えても墨色の違いがようわからん。
それよりも、紙の違いや、描き方の違いの方が大きいように思う。
まだまだ、勉強が足りんのですなあ。
硯は、最近は国産、「雄勝硯」をもっぱら愛用してる。
中国の有名な端渓硯や歙州硯を使ってた時期もあるけど、もひとつその良さがわからへん。
よく磨れるって言うても気分の違いとちゃうやろか?
それならば、国産品をつかったらいいではないか。
しかも、これって、メッチャ使いやすい。大きさや形や使い勝手がいまの絵を描くやり方にちょうど合ってるみたいなのだ。
もう10年以上前に、宮城県、雄勝の硯師の方をネットで見つけて直接連絡して送っていただいたやつだ。
同じ石で蓋を作ってくれていて、ぴったり嵌るようになっている。
芸術品ではないか。
筆は中国で買った安物のやつ。
水は水道水。
心もこもってないし、みそぎもやってない。
暑いもんねえ。
それは、ともかく、陸游さんの詩はどれもとても好きだ。
南宋が滅びかける頃の人。
才能があっても認められず、最後は故郷に帰って晴耕雨読の生活だったらしい。
杭州市の郊外、紹興市に沈園という有名な庭園がある。
そこに行ったら、陸游と別れた妻唐琬との相聞歌の碑があって、その拓本を売りつけられるのが習いになってる。わしも買った。
てなことで、まあ、中途半端なやつができた。
もっとええ絵が描けるよう頑張ろう。