ミア・カンキマキ、「清少納言を求めて、フィンランドから京都へ」。
これはすばらしい。
「枕草子」、清少納言に魅せられた。あるいは魂を奪われた作者が、京都まで来て、
暮らす中で見つけたもの。
平安宮廷の時代に文才のある女性の生き様を見つめる。
定子と彰子のサロン。滅ぶものと栄えるもの?
虫はすずむし。ひぐらし。てふ。松蟲。きりぎりす。はたおり。われから。
ひおむし。蛍。
みのむし、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれもおそろしき心
あらんとて、親のあやしききぬひき着せて、「いま秋風吹かむをりぞ来んとする。
まてよ」といひおきて、にげていにけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりに
なれば、「ちちよ、ちちよ」とはかなげに鳴く。いみじうあはれなり。
ひおむし。蛍。
みのむし、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれもおそろしき心
あらんとて、親のあやしききぬひき着せて、「いま秋風吹かむをりぞ来んとする。
まてよ」といひおきて、にげていにけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりに
なれば、「ちちよ、ちちよ」とはかなげに鳴く。いみじうあはれなり。
ミノムシが鳴くのか?
野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。立蔀・透垣などのみだれたるに、
前栽どもいと心くるしげなり。おほきなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、
萩・女郎花などのうへによころばひふせる、いと思はずなり。
前栽どもいと心くるしげなり。おほきなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、
萩・女郎花などのうへによころばひふせる、いと思はずなり。
ええなあ、枕草子。わしは前から大好きなのだ。何の知識もないし、勉強もしてないけど、
とにかく好きなのだ。
てなことで読み進める。
とうとう、もののあはれにたどりついたか?
イシグロ 日の名残
言葉にできない哀愁、生命の美しさがもたらす哀しみ、終わりのない気配
「何か」を十分に手に入れられなかった予感が漂っている
心を動かすものはなんなのかははっきりはつかめないけれど
胸の奥や喉や鼻腔にのしかかってくるーそれは涙になって溢れることはないが
体全体を支配する
言葉にできない哀愁、生命の美しさがもたらす哀しみ、終わりのない気配
「何か」を十分に手に入れられなかった予感が漂っている
心を動かすものはなんなのかははっきりはつかめないけれど
胸の奥や喉や鼻腔にのしかかってくるーそれは涙になって溢れることはないが
体全体を支配する
枕草子をもっと読み返したい。
もっと勉強したい。
ムズムズする。
作者の、京都の暮らしがとても面白い。
わしでも知ってる京都の街を自転車で闊歩する。
ガイジンさんたちのドミトリー暮らし。
名もないバーに行ってみたいなあ。
震災に怯える暮らし。
再訪の喜び。
とても良い。
西村賢太、「雨滴は続く」。
あいかわらず強烈な印象をうける作家だ。
読み出したらすぐに嫌になる。
ほんま嫌なやつだ。ジコマンの塊。おぞましい。嫌な性格。
自虐的な割に、ええカッコし、ナルシスト。
とんでもない。
しかも、自分のことをあからさまに書いただけかい! という私小説。
もうええわ。って思いながらもついつい次を読んでしまう。
自分にもある嫌なとこを抉り出されてるような気すらして嫌悪感がわきあがる。
こんなこと絶対やりたくない、考えたくないということがあからさまに、やられてる。
もうええかげんにせえよ。
とても不思議、そうは思いつつ次を読んでしまう。
いつのまにか、これも筆の力ではないかと思い始める。
最後の私小説作家が生命を賭して紡ぎ続けた畢生の大作1000枚
仰ぎ見る師・藤澤清造に少しでも近づくめく、時に女たちに心奪われながらも、
貫多は作家への道を歩み始めるーさらば、北町貫多!
2004年暮れ、北町貫多は37年の人生において初めての高揚を味わっていた。
同人誌に発表した小説が、大手文芸誌「文藝界」に転載されたのである。
にわかに訪れたチャンスをものにして「輝かしいき新進作家」になるべく、
苦悩しながらも奮闘する作家前夜の日々
仰ぎ見る師・藤澤清造に少しでも近づくめく、時に女たちに心奪われながらも、
貫多は作家への道を歩み始めるーさらば、北町貫多!
2004年暮れ、北町貫多は37年の人生において初めての高揚を味わっていた。
同人誌に発表した小説が、大手文芸誌「文藝界」に転載されたのである。
にわかに訪れたチャンスをものにして「輝かしいき新進作家」になるべく、
苦悩しながらも奮闘する作家前夜の日々
この人の本、どれを読んでもこんな感じ。
それでも読んでしまう。
それも筆の力か。
「どうぜ死ぬ身の一踊り」
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ありがとうございました。