米澤穂信、「黒牢城」。
読み始めたら、何や普通の歴史小説なんやろかなんて思った。
ところが、さすがミステリーの巨匠。
だんだんと「王とサーカス」みたいな世界に入っていく。
とても面白い。
とてもワクワクする。
時は戦国時代。突然、信長に反旗を翻した荒木村重が登場。
有岡城、籠城の場面だ。
天下の堅城、ここに入ったら負けることはない。村重は自信満々である。
さて、歴史の知る通り、ここに黒田官兵衛がやってくる。
歴史の知る通り、囚われの身ととなる。
舞台が整った。
信長の大群がひたひたと城を取り囲む。
一方、同盟軍の裏切りが相次ぐ。あてにならん。
村重は人質を殺さない。何故だ?
そして、ある雪の夜、人質の若者が衆目の前で不思議な死に方をした。何故だ?
この謎は解かねばならない。
ある日、寄手に陣に油断を見る。奇襲をかけてみよう。
見事成功。しかし、敵将を討ち取ったのか? 首は獲れたのか?
異形の首が宙を舞う?
次々と不思議な事件が城の中で勃発。村重はこの謎を解けるのか?
そして、牢中の官兵衛が?
美貌で聡明な妻、千代保が果たす役割は?
廻国の僧、無辺とは?
村重が持つ秘宝の茶壷、寅申は光秀の手に渡るのか?
歴史と交錯しながら、さまざまな謎が、盛り上がって行く。
戦いより面白い?
巨匠の技に惹き寄せられる。
とても面白かった。
島口大樹、「オン・ザ・プラネット」。
ロードものは好きな分野。
本のどこかに、こんな風に・・・
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終わったのかな 何が 世界?
同じ車に乗り込んだぼくら四人は映画を撮るために鳥取砂丘を目指す。
「これからぼくらが話すことは、人類最後の会話になるかもしれない。
そうやって考える時、皆は何を話したい?」
記憶すること、思い出すこと、未来に向かって
過去を見つけ直すこと。
現実と虚構の別を超えて新しい世界と出会う旅。
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ようわからんけど、若者四人が旅に出る。
映画を撮るためだ。そうだ。
スズキ、トリキ、マーヤ、善弘。
東京から鳥取砂丘へ。
途中、浜松と大阪に一泊ずつ。
それぞれの思い出が語られる。人生で背負ってきたもの。
話は淡々と進む。
ほとんどドラマチックなことは起こらない。
それでいて、読んでいて退屈ではない。
独自の世界が立ち上がってる。
人物像が見事に立ち上がってる。
風景がその場の空気がとても自然に描かれてる。
なんだか、わけわからん話のようで、あんまり居心地が悪くない。
よくできた小説なんやろなあって思う。
寺山修司 「血と麦」 なんかも出てきたんで、読みたくなった。
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ありがとうございました。