最近読んだ本、「百枚の定家」、「短編画廊」。

  • 2021年7月16日
  • 3人

梓澤要 、「百枚の定家」。

とうとう武蔵の美術館がオープンにこぎつけた。学芸員 秋山渉の腕の見せどころだ。
開館記念の企画展に何をぶつけるか?
技量と見識が試される。
今村館長がいきり立ってる。
やはり、高名な書家、宇田川皐風家から寄贈されたの遺品を中心に記念展として
もりあげるのが最大に狙いになるだろう。
しかし、それだけではたりない。何か、とっておきが必要だ。
そんな時、秋山の元恋人でアメリカのブレークホーン美術館でアシスタントキュレーターを
してる篠原美郷からサザビーズのオークションに定家の小倉色紙の1枚が出ていると
情報が入った。彼女の美術館が買うつもりだ。しかし、失敗。
どうやら、日本人が落札したらしい。
もしかしたら入手できるかもしれん。遺品とこれを抱き合わせたら大イベントになる?
さて、果たしてこれは本物か偽物か?
定家直筆の百人一首、小倉山荘色紙なんて本物が今まで残っているものなのか?
幾多の戦乱の中で消失したんとちゃうやろか?
そして、海外流出。
応仁の乱では? 戦国時代には? 江戸時代? その他もろもろ?
第一、印刷技術のない昔は、書き写すことこそが文化を継承する重大な手段。
真も贋も誰も気にしてない。
真を写した偽物も贋を写した本物も。
定家の書には独特の癖があったらしい。子孫には癖まで受け継がれた?
癖が遭ったほうが真似しやすい。
根拠は儚い。
そして、またもや百枚の一部が発見されたのか?
それは、手に入るものなのか? そして、本物なのか?
山中の旧家に保存されていたというそれは、経過をたどると限りなく本物くさいけど
そんなものほど限りなく妖しい。
大金が動き始めた。
なにか、事件の匂いもし始めた。
はたしてこの結末はどうなるのか?
贋作師の末路とは? 定家になった男とは?
お宝と歴史と、サスペンス。とても面白い。

ローレンス・ブロック編、「短編画廊 絵から生まれた17の物語」。

エドワード・ホッパーの作品には「絵の中に物語がある」、「その物語は語られるのを待っている」
らしい。そして、17人の作家が語ってみせた。
・ガーリー・ショウ ミーガン・アボット文 画題GIRLIE SHOW,1941
舞台で踊る女について。
・キャロラインの話 ジル・D・ブロック文 画題SUMMER EVENING,1947
若い男と女について。
・宵の蒼 ロバート・オレン・バトラー文 画題SOIR BLUE,1914
レストランにて座るピエロと立つ女について。
・その出来事の真実 リー・チャイルド文 絵HOTEL LOBBY,1943
ホテルのロビーにて夫婦と本を読む女。
・海辺の部屋 ニコラス・クリストファー文 絵ROOMS BY THE SEA,1951
部屋の外は海、差し込む光があらわすものは。
・夜鷹 マイクル・コナリー文 画題 NIGHTHAWKS,1942
夕暮れのカフェー、男が一人、カップルが一組、さて何が起きるか。
・11月10日に発生した事件につきまして ジェフリー・ディーヴァー文
画題 HOTEL BY ARAILROAD,1952
部屋の中、座って本を読む女、立ってタバコをすう男。
・アダムズ牧師とクジラ クレイグ・ファーガソン文 画題 SOUTH TRURO CHURCH,1930
不思議な教会で起こったこと。
・音楽室 スティーヴン・キング文 画題 ROOMS IN NEW YORK,1932
部屋の中、新聞を読む男、横を向いた女、そして・・・。
・映写技師ヒーロー ジョー・R・ランズデール文 画題 NEW YORK MOVIE,1939
映画館、佇む女。
・牧師のコレクション ゲイル・レヴィン文 画題 CITY ROOFS,1932
ビルの屋上で何が。
・夜のオフィスで ウォーレン・ムーア文 画題 OFFICE AT NIGHT,1940
深夜のオフィス、机の男、立ってメモする女、緊張の中で。
・午前11時に会いましょう ジョイス・キャロル・オーツ文 画題 ELEVEN A.M.,1926
窓辺に裸で座る女、靴はいてる?
・1931年、静かなる光景 クリス・ネルスコット文、 画題HOTEL ROOM,1931
ホテルのベッドに下着だけで座る女。
・窓越しの劇場 ジョナサン・サントロファー文 画題 NIGHT WINDOWS,1925
外から見える部屋、ピンクの下着の女。
・朝日に立つ女 ジャスティン・スコット文 画題 AWOMAN IN THE SUN,1961
部屋の中に裸で立つ女、光が後ろから。
・オートマットの秋 ローレンス・ブロック文 画題AUTOMAT,1927
座ってコーヒーを飲む女、帽子をかぶる。
こういう趣向とても面白い。絵の向こうに見える物語。
こんな絵を描けたらなあって思う。

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ありがとうございました。