最近夢中で読んだ本、吉田修一、佐野眞一

  • 2008年9月16日
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吉田修一、「日曜日たち」
普通の人の普通の暮らし、それぞれの暮らしも夫々の思いで切り取ってみると
ある種の特別な一日と言える日がある。
それらをつなぐのは不思議な兄弟だ。いきなり現れて、消えていった。
気になる。未消化な思いが残る。
5人の違った人間のある日の生活に現れる、同じ兄弟。
不思議な手法で5つの物語が語られる。
最後にちょっと目が熱くなるかもしれませんよ。

普通の暮らしを印象的に物語にする人です。

佐野眞一、「阿片王」
満州国が出来る頃、軍と戦争を維持運営する資金源として阿片が使われた。
それが生み出す巨大な金と権力。それを動かす闇のシステム。
そのシステムは中国の革命勢力の資金作りにまで及ぶ。
頂点に居るのは里見甫だ。
莫大な金と権力を扱いながらも、それに溺れない男。
傍らにはいつも男装の麗人。
カッコいいけど、闇は闇の世界。人を滅ぼす阿片を扱い、それが何を引き起こし、
何を生み出したかは歴史の知るところだ。

淡々と事実を追いかけ根気良く取材して生まれた本。
興味深い一冊だ。

hon080916

毎週火曜は、最近夢中で読んだ本の話です。