今村翔吾、「じんかん」。
松永弾正って、わしの知識のなかでは印象が悪い。
て、言うか、あんまり詳しくは知らないで、知り合いではないけど、勝手にそんな
想像をしてる。まあ、そんな程度の情報しか摂取してこんかったということだ。
この本を読んでて、「えらいちゃうやんか」って驚いた。
まあ、実際ってそういうもんなんやと思う。
適当に烙印付されただけで、小説本になったり、研究成果が一般の人に知られたり
してなかっただけとちゃうやろか。
それとも、松永の三悪というのが長年の研究のはてに定説になっていて、今回の
本の内容が、それに対抗する新説なのか?
やっとまともに小説に取り上げる人がでてきたのか?
本当に松永弾正と織田信長は心の友だったのか?
主家の三好氏を乗っ取り、うまい汁だけ吸って滅ぼしたのは事実なのか?
実際は三好家内の内紛に巻き込まれただけなのか?
東大寺=奈良時代からの由緒あるお寺=信仰の対象=悪いこととは無縁?
そんな先入観がないではないけど、応仁の乱以前の昔から、権威と権力の
集まる所、利権と政争のうごめく拠点ではなかったのか?
民のために動いたのは誰だったのか?
足利将軍家を滅びの道に追い込んだのは本当に彼のせいなのか?
茶を愛し、文化を愛し、
平蜘蛛の釜を持ったまま死を選んだ男ってカッコええやないか。
多聞山城の攻防、カッコええやないか?
近畿一円、応仁の乱以来、あっちについたり、こっちに走ったり、節操なく、ごちゃごちゃと
争いが絶え間なく続いた時代から、急速に力をつけた地方武士団たちが天下を争う、
群雄割拠から天下統一の時代に大きく切り替わる時期にいた
松永弾正という男の生きざまが大河ドラマのように描かれていて
とても面白い。
ほんまかいなと思うところもないではないけど、司馬遼太郎モノやその他、有名な
戦記モノで先入観をつくってしまってた物知らずの爺さんには
新鮮な楽しさであった。
アンソニー・ホロヴィッツ、「メインテーマは殺人」。
時々、衛星放送の番組なんかでBBCの推理ドラマなんかを見ることがある。
アガサ・クリスティシリーズや名探偵ホームズものやその他、最近の作家の
ものもある。字幕を見てて気がつくのは、原作者がこういった昔の作家で
あっても、今風にアレンジされていて、そういう仕事をして活躍してるのが
どうやらこの作家、アンソニー・ホロヴィッツらしくて、やたらに名前が
出てくる。
では、この人自身の作品はどうなんやろって気になって、何冊か読んだことが
ある。この本もその一つだ。
テレビドラマや映画つくりの名人の作品だけにとても面白い。
しかも、ドラマチックでスピード感があってワクワクドキドキと楽しめる。
いきなり殺人事件から始まる。
ある日、老女が自宅で殺されているのが発見された。
しかも、調べたら、その日に自分自身の葬儀の手配のために葬儀社を訪れていた
というのだ。
自身の葬儀の手配をしておくのはよくある話だとしても、その日のうちに死んで
しまうのはよくある話ではない。しかも殺されるなんて。
わたしは、作家だ。今あるプロジェクトを持ちかけられてる。
ダニエル・ホーソーン、ロンドン警視庁の元やりての刑事で今は顧問、と
組んで行動を共にし、彼の謎解きぶりをホームズもののワトソンのように
記録して本にしないかという話だ。
この事件は彼が持ってきた話だ。
とても偏屈なやつやけどとても有能そう。
ともかく事件の解明が必要だ。
被害者の息子は有名俳優。急遽恋人を連れてアメリカから帰国。
果たして事件に関係があるのか。その恋人は?
あるはずのない関係が実は、次第に明らかに・・・
葬儀社の経営者はどうなのか?
何の関係もないのか? 従業員は?
被害者の家に通う掃除夫は?
被害者が昔、引き起こした交通事故とは?
双子の兄弟が巻き添えになり一人が死んだ。そのことが引き起こした闇とは?
そして、猫はどうなった?
どこに行った?
様々な疑問が次々と明らかになる。
どれとどれがどうつながっているのか?
果たして解明できるのか?
真犯人は誰だ。
とても面白い。
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