大阪九条の「シネ・ヌーボー」いつもマイナーではあるが好い作品をやっている。
久しぶりに来たが今日は意外と人が多い。
しかし、これは「ヌーボーX」の客ではなくて、きっと正統派の映画の方の客なん
やろなあと思っていた。時間がきて場内にはいるとあんのじょうそうだ。
客はたった3人。おじさんばかりだ。
あのポスターに惹かれて来たんかなあ。私も違うとは言い難いけど。
江戸川乱歩の原作だ。幻の推理小説作家、大江春泥の正体は一体誰だ?
陰険な脅迫者の正体は誰だ?その正体を廻って、2転3転する話は結構面白かった
ので、どんなんかなあと見に行ったのだ。
以前にも日本映画で映画化されたことがあったようだが、今度はフランス映画だ。
一体どんなだろう。
いきなり舞台は京都の祇園になっている。
女主人公もいつのまにか祇園の芸妓だ。
始まったらとたんにおどろおどろしい画面になって、生首がぽろり。
「ありゃあ、こりゃあかんわ」、変な日本趣味に、猟奇と倒錯だけが味付けされた
変な映画かいなとがっかりしかけたが、見ているとなかなか面白い。
日本が舞台で、サスペンスで、全編フランス語というのも、かなり無理はあるが、
目先が変わっていいかもしれない。
少し残念なのは、江戸川乱歩流の、微妙な猟奇と倒錯の世界への誘いが直接的すぎて
味がない。
それに、屋根裏の穴から除き見た部屋の中。
視点は変わると異質な空間になる。
その視点で見た女の丸髷とおおきくくられた襟足の妖しい美しさ。
こういうところがポイントの一つで、それを映像化するのが大事だと思ったが
そのへんも寂しかった。
しかし、最後のおさめ方もなかなか面白かったのでいい映画だったと思う。
毎週木曜は映画、音楽、書画に関する話です。