アビール・ムカジー、「カルカッタの殺人」
初めてインドへ行った時って、それは仕事やったんやけど、とても興奮した。
想像してたのとえらい違いどころか、とても似ていた。とにかく暑い。着いたのは
バンガロール、インドの中でも気候が良い方だ。それに深夜便であったけど、それでも暑い。
深夜でも結構賑やか、もう20年近く前のことやけど空港には白いアンバサダーという
レトロなタクシーや迎えの車がざわついてる。東南アジアの国とはまた違った活気を
感じられた。翌日、市街地を移動しながらさらにインドを感じた。
最先端と言われるITの街でも束になってこんがらがった電線がボロボロの煉瓦造りの
ビルの間に張り巡らされてる。近代的なオフィスビルのすぐとなりに廃墟のような
ボロビルがあって、そんな中でベンチャー企業のオフィスが頑張ってたりする。
高級車が走るとなりを牛が悠々と歩いてる。富裕と貧困、洗練と退廃、先進と
停滞、通りすがりの外国人にも実にいろんな混沌を垣間見ることができた。
一度インドに行ったら、とても好きになるか、二度と行きたくなくなるかどっちかって
よく言われるけどわしは前者だ。
この本の舞台は、もっと遥かむかし、イギリス統治時代のインド、カルカッタだ。
当時の、街の様子、人々の暮らし、イギリス人支配階級とインド人の関係、
インドのカーストの世界、良いも悪いも、生き生きと立ち上がってきて
とても面白い。
サミュエル・ウィンダムはインド帝国警察の警部、戦争で負傷、最愛の妻がインフルエンザで死ぬ
などで落ち込んでたところをインド帝国警察、警視総監チャールズ・タガート卿に拾われて
カルカッタにやってきた。赴任早々事件が起こる。
ベンガル州行政府の財務局長、アレグザンダー・マコーリーが突然不振の死を遂げた。
明らかに殺人だ。喉をかき切られ、口にメモが押し込んであった。
ジョン・ディグビー警部補とインド人の部長刑事サレンダーノット・バネルジーを
従えて捜査が始まる。
捜査は順調とは言えない。
情報部H機関からも邪魔が入る。目撃者はいないのか?
そして列車襲撃事件が?
インド独立運動のテロか?
事態は思わぬ方向に展開?
殺された財務局長の秘書の女性はとても魅力的だ。ウィンダム警部はどんどん魅かれていく。
しかし、意外な事実が判明。
犯人を捕らえることができるのか?
誰かが裏で誘導しているのではないか?
とても面白い。
柚月裕子、「慈雨」
神場智則は42年の警察官人生を卒業、妻、香代子と四国88箇所巡礼の旅にでる。
訳あって歩いて巡る旅だ。その訳とはなにか?
心の闇に導かれての旅なのか?
そんな中、元の職場の担当地区で幼女誘拐事件が発生した。愛里菜ちゃん事件だ。
それも気になる。
幸い娘の恋人が現場にいる。連絡をもらいつつ相談に乗る。
気持ちの上ではまだ卒業できない、因果な人生だ。
聞いてるうちに16年前の純子ちゃん事件を想い出した。
この旅はその時の心の傷と鎮魂の旅でもあったのか?
巡礼の旅を歩きつつ、様々な想いが心を駆け巡る。
そして、はたと気がついた。
もしかしたら、新しい事件は前の事件にあまりにも似ているのではないか?
それならば気になることがある。
それならがわかることがある。
そして意外な盲点が明らかになってきた。
神場は真相に辿り着けるのか? 警察は犯人を逮捕できるのか?
とても面白い。
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ありがとうございました。