樗(栴檀)の花が咲く頃。
ころな騒ぎも少しは落ち着いて来たんやろか。毎日、毎朝ウォーキングをしていると
だんだんと人が増えてきたのがよくわかる。町の人の変化は少ないけど、近くの
道の駅などには外部の人の車が多くなってきたし、町石道を通って高野山までハイキングする
人がめっきり増えた。山の中やから菌はおらんやろから来る人に対しては安心やろけど
菌をもちこんであたりを汚染させてしまうリスクもあるということは認識しておいて
欲しいものだ。
その歩くコースの一角で最近はとても良い香りがする場所がある。
毎年この季節を楽しみにしてる栴檀(樗(おおち))の木に花が咲いたのだ。
この木は樹齢130年を超える古木でとても巨大、がっしりと根をはって存在感抜群の大木だ。
説明を見ると、栴檀と言うても、「栴檀は双葉より芳しい」という栴檀は実は白檀のことなんで
この栴檀とは違うと書いてある。何のことはようわからんけど、確かに白檀の匂いではない。
白檀はよくわかる。大きなお寺なんかにいくと良く嗅ぐ匂いだ。インドの木彫りの置物なんかも
白檀で造られているものがある。とても高級な匂い。
樗の木の匂いは全然ちがう。薄い紫の小さな上品な花によく似合った匂いだ。
花はこの巨大な木にあふれんばかりに咲いている。花自体は目立たへんけど夥しい数だ。
この季節にだけ咲く。
そしてとても上品な香りがする。白檀ほど個性的で派手派手しくはなくて、仄かで
高雅な香りだ。それでも木の近くにいくと紛れもなく香りに包まれた感じがして
とても癒される。
説明板には南方熊楠がこの花をこよなく愛し、臨終の時にもそのことを言ったのだそうだ。
こないだ読んだ熊楠の本にはそのことは出てこなかったけど、一生独自の道を歩んで、
学会や組織に所属しなかった孤高の人の誇りと寂しさをこの木の下で感じることができる
かもしれない。知らんけど。
はるか向こうは高野山方面だ。つい最近まで右手奥のあの山は高野山って思ってたけど
実は手前にある雪池山だったということがわかった。
だからどうということはないけど、自主規制を自主的に解いた人たちがこの日も
町石道を通って登っていきはる。
歩くだけでなくて、走って行く人たちも復活しつつある。
それはええけど、はあはあするとき、こっちに向かって息を吹かんといてくれ。
すれ違いでわしは顔を背けはするけど、気色悪いやないか。
マナーを守れ。
高雅な心はコロナの前では無力なのだ。
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ありがとうございました。