法月綸太郎、「ノックスマシン」
ノックスの十戒という言葉があるらしい。ノックスと言う人が推理小説で守ら
なければならない10の事柄を定めたものらしい。
例えばこんな事だ。
1.犯人は小説の冒頭あたりですでに登場していること。
ただし読者が簡単に心を読めるような人物であってはならない。
こういうのが10個続く。
そして5番目にこういうのがあるらしい。
5、探偵小説には中国人を登場させてはならない。
何で中国人? と思う。
そう思ったとたんに作者の企みの世界に連れて行かれる。
時ははるか未来。自動的に推理小説を生成するシステムがすでに構築されてい
る。中国人、ユアン・チンルウはその研究者だ。
彼も思う。何故中国人が登場してはならないのか?
そして時空を越えて、ノックスに会いに行かざるを得ない事態に。
果たしてノックスの十戒は時間のパラドックスの中で変わってしまうのか。
ユアンは現代に帰れるのか?
SF小説のような、推理小説のような短篇集。
中々視点が面白い。
引立役倶楽部。
ホームズにワトソン博士、ポワロにはヘイスティング大尉。名探偵にはそれぞ
れお決まりの引き立て役がいてる。その面々が一同に会して、本格探偵小説の
あるべき姿を論じる倶楽部がある。
なるほど、あってもよさそうなおもしろい話だ。
姜尚中、「心」
作家とある学生との手紙の交換を通して物語が流れて行く。
親友の死に直面して生きることの意味に思い悩む青年との対話だ。
ゲーテのゲーテ「親和力」などがでてきて人間による自然操作などの話題に興
味を覚えるところもあるけど、小説のしてのなりたちに、読みながらかなり、
違和感があって、なかなか入っていけない。わしの感受性が鈍いせいなんやん
やろと思う。
此の中で、東北大震災の後、青年がボランティアとして遺体捜索に従事する。
その遺体との遭遇場面の描写はすごいと思う。
ここをもっと抉り込んだ話しとして読みたかったような気がした。
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ありがとうございました。