映画、「死刑台のエレベータ」

首尾よくいった、さあ逃げよう。
車にのってビルを見上げると、大変だ、カギのついたロープを忘れて来た。
さっと行ってとって来よう。警察に見つかったら犯行がばれてしまう。
エレベータに乗っても気があせる。と、突然エレベータが停まって電気が
消える。みんな退社したから保安係が電源を切ってしまったのだ。
男は出られない。残してきた車に、花売り娘のチンピラ恋人が興味を示して
いる。金持ちの良い暮らしがあこがれなのだ。
と言う間に、二人とも車にのって出発してしまった。あてもなく。
夜が更けてくる。男は出られない。あせっていろいろ試みるが徒労だ。
女が待っている。男が来ない。
「殺せなかったんだわ、いくじなし。でも、どこへ行ったんだろう」
若い恋人たちはつぎつぎと何かを引き起こしていく。
もう夜があける雨が降って来た。女は男を探す。
このジャンヌ・モローの存在感。
やっぱりすごい映画だ。
バックには、マイルス・ディビスのトランペットだけ。
ピアノとベースとドラムスだけが静かにそっと音を添える。
このレコードどっかにあったはずだ。
わずかの所蔵レコードをくまなく探しても見当たらない。
「あった」
一枚のレコードというのではなくて、オムニバス盤のような
レコードに収録されてたやつを持っていたのだ。
レスター・ヤング、コールマン・ホーキンス、チャリーパーカー、
セロニアス・モンクなどあまりにも盛りだくさんだ。
でも、もいっかいゆっくり聞こう。
そして、この映画、いまだにカッコいいし、
サスペンスとしてなかなかのものだ。
さあ、エレベータに閉じ込められた男はどうなる。
夜の街を彷徨う女はどうなる。
若い二人はとうとう人殺しか。

eiga101223

毎週木曜は映画、音楽、書画に関する話です。