最近読んだ本、「自転車泥棒」、「三の隣は五号室」

  • 2019年7月26日
  • 2人

呉明益、「自転車泥棒」

「歩道橋の魔術師」も面白かったけどこの作品メッチャ面白い。呉明益ワールドが炸裂する。
父がいなくなった。そして自転車がなくなった。
家族を巡る自転車の物語。町を巡る自転車の物語。台湾を巡る自転車の物語。
ビンテージものの自転車の収集家。その元恋人。
自転車を探しているうちに次々と摩訶不思議な事実に遭遇する。
軍用自転車とは何なのか? 旧日本軍だ。
第2次世界大戦初戦にマレー半島で電撃作戦を展開した自転車部隊とは?
その跡を辿る男とは?
自転車部隊はそのごビルマの戦線でどうなったのか?
彼らと行動を共にした象たちの運命とは?
象と会話できる男。そしてあの象は?動物園の悲劇とは?
台湾にはとても珍しい蝶が生息する。そして、その蝶の羽を使った工芸品とは?
蝶とその工芸品とその工芸品を作った人たちの数奇な運命とは?
めくるめく展開にとてもついていけない。ハラハラ・ドキドキ次はどうなんねん?
読み終わるのが惜しい。次々読みたいけど終わって欲しくない。
1.我が家族と盗まれた自転車の物語
2.アブーの洞窟
ノートⅠ
3.鏡子の家
ノートⅡ
4.プシュケ
ノートⅢ
5.銀輪部隊が見た月
ノートⅣ
6.自転車泥棒たち
ノートⅤ
7.ビルマの森
ノートⅥ
8.勅使街道
9.リンボ
ノートⅦ
10.樹
とても面白い。とても素晴らしい。

長嶋有、「三の隣は五号室」

最初は奇を衒ったオムニバス短編集みたいなんかなあ、チャラいかも知れんなあって
読み始めたたら、ページを追うごとにぐんぐん惹きつけられた。
三輪密人が暮らすのは何の変哲もないアパート、藤岡荘五号室だ。隣は3号室で
反対側の隣は6号室。4号室というのが無いのはよくある話だ。
間取りが変わってる。
一番奥が6畳の和室で左に押入れがある。
次は、左に4.5畳和室と右にキッチンが並んでいて3方が障子に囲まれてる。
そして、一番手前は浴室、玄関の間、トイレと並んでいる。
変わっているようでもあるけど、住みにくいわけでもなさそうだ。
住む人それぞれに使い方があって人生がある。
この部屋を通り過ぎた人たちの物語だ。
派手な立ち回りやドラマチックな事件が待ち構えているわけではない。
淡々と日々の暮らしが過ぎていくようで、それを定点カメラのように追っていく
視線がとらえるものが、時に哀しく、時に嬉しく、時に胸を打つ。
障子に明けられた穴が見ていたものは?
ガス栓にこびりついたかのようなホースがなんで残っていたの?
テレビのアンテナの配線はデジタル化とともに使い物にならなくっていって
室内アンテナでテレビを見ていた人は?
障子の扉の使い方、畳の凹み。
平凡なようでドラマがある。
とても面白い。
この部屋で暮らした人たち。
四元志郎
五十嵐五郎
六原睦郎、豊子
七瀬奈々
八屋リエ
二瓶敏夫、文子
九重久美子
十畑保
霜月未苗 桃子
藤岡一平
アリー・ダヴァーズダ イラン
諸木十三
そして部屋は無くなった?

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ありがとうございました。