最近読んだ本、「路地裏の子供たち」、「いつか深い穴に落ちるまで」。

  • 2019年7月10日
  • 17人

スチュアート・ダイベック、「路地裏の子供たち」

とても良い。繊細で叙情的な短編集だ。
スラム街のような路地裏には、暴力がある。退廃がある。泥棒がいる。臭い匂いがある。
怠惰がある。貧乏がある。切なさがある。
そして子どもたちには夢と冒険がある。
パラツキーマンに出会ったらどうするのか、どうなるのか?
猫女とは何なのか?
鳥と汚濁にまみれて暮らす男。
幽霊に追いかけられる。夢か?現実か?
冒険の日々、希望と挫折の日々。
二度と帰らない日々。
とても良い。珠玉の短編集だ。

パラツキーマン
猫女
血のスープ
近所の酔っ払い
バドハーディンの見たもの
長い思い
通夜
ザワークラウトスープ
慈善
ホラームービー
見習い

山野辺太郎、「いつか深い穴に」

こんな荒唐無稽な、ありえない、非現実的な話をまこしやかに小説に仕立てて、
いったいどうなるんやろ? ってはらはらしながら読んでいた。
途中から結構惹き込まれていった。とてもおもしろい。
なんと日本からブラジルまで地中を一直線に掘ってトンネルを通そうというプロジェクトの
話なのだ。
敗戦から数年後、闇市の屋台でカストリ飲みながらそれを思いついた男がいる。運輸省の
若手官僚だ。そのルートを通ってあらゆるものが地球の反対側と行き来できる。
敗戦の痛手から抜け出して大いなる夢を持とう。
そういうことだ。
日本には温泉を掘削する技術がある。できないはずはない。
役所を動かし、官僚を動かしプロジェクトは起動した。
秘密裏にこっそりと、地道に。
そしていつしか民間に。広報をひきついだ鈴木。
一体何をすればいいのか?
プロジェクトはどうなるのか?
香港からの実習生と恋に落ちる?
ブラジルにまだ見ぬ彼女が?
なにもないような日々にも波乱が万丈。
さて、深い穴が貫通する日がくるのか?
あると思えばなんでもある。できると思えばなんでもできる。
とても面白い。

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ありがとうございました。