もう17、8年前の話ではないやろか? ある日、車で走ってたら、ラジオの放送で
気になる話をしてる。無名のキューバのバンドがそれも全員80歳代とか90歳代の
老人ばっかりのバンドが突然グラミー賞をとって一躍売上何十万枚とかの人気
グループになってしまった「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」というのが
ワールドツアーの最中で今日本に来てる、しかも河内長野あたりでライブをやってると
いう話やった。そんなん滅茶興味ある。是非行ってみたい。けど、その時点で
その日しかやってなくて、確かに河内長野近くを走ってたけど用があって行かれへん。
えらい心残りになってCDを買ってみた。
聞くなりいっぱつで魅了されてしまった。
イブライム・フェレール、素晴らしい歌声だ。やや高い、とても柔らかい優しい声。
陽気で素朴で軽快なリズムの楽しい気楽な雰囲気。でもそれだけではない感じ。
どこかに深い哀しみややるせなさが漂ってる気がする。それが味になってるようだ。
映画を見ると歌詞の日本語訳が流れるんでそれがよくわかる。
ルベーン・ゴンサレスのピアノも素晴らしい。
ヴォーカルがなくても誰かが歌ってるような気がする。
すっかりファンになってしまったけど、時々、日本でライブがあったら行きたいなあ
なんて思ってたけど、わしの低いアンテナでは何もひっかからずにここまできた。
最近FBでこの映画の情報が流れ出したんで、大阪でやるときは是非行きたいもんやと
チェックしてたけど、色々用事が引っかかってなかなかチャンスがなかった。
半ばあきらめてたんやけど、上映期間が長くなったようやし、わしが行ける時間帯
やったんで勇んで梅田に出ていった次第だ。
場所はステーションシネマ、夏休みでメジャーな映画が沢山上映中なんで、閑散と
してるやろって思ってたら、あにはからんや満員とは言わんまでも相当な盛況やった。
やっぱり、知る人ぞ知る、密かな人気が根強いんやなあって思う。
映画はとても素晴らしい。
手に汗握るわけでもないし、涙涙のストーリーの展開もないし、起承転結もようわからん
けど、彼等のその後の、あるいはその当時の、あるいはデビュー前の様子が
生き生きと立ち上がってきて、
極貧の暮らしの中から生まれた。
「音楽に失望し、靴磨きをしていた」。
差別の中で金も食もなくて、音楽だけが生きがいだった。
そんな暮らしがなるほどそうやったんやとよくわかる。
オマーラ・ポルトゥオンドは、熱狂する観客たちについて、
「本当に私達の心の中の哀しみをわかってるんだろうか」ってつぶやいていた、
そのとおりやとおもう。
それでも、言葉がわからんでも、歌詞の意味が十分伝わって無くても、
これだけの共感を引き起こす音楽のチカラがすごいって思うのだ。
残念ながら、コンパイ・セグンドもイブライム・フェレールもルベーン・ゴンサレスも
亡くなってしまった。
でも後に続くひとたちは確かにいるようだ。
又いつかどこかで出会いたい。
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ありがとうございました。