コルソン・ホワイトヘッド、「地下鉄道」
この本、とても良い、とても面白いと言ってしまうと語弊がある。内容は黒人奴隷
差別にからんだシリアスな話だ。良い良いと楽しむような話では無い。しかし、
ストーリーの展開やスピード感などなど、一気に読ませる迫力がある。
コーラは明るい心と健康な体、力強い意思を持った少女だ。しかし、奴隷である身の上
からは逃れられない。毎日が過酷な労働に明け暮れている。残虐なリンチは主人からも
仲間からも。心も体も傷つくばかりの日々だ。
母は私をおいて逃げたらしい。こんな暮らしから逃げおおせるすべがあるのか?
そして私を守ってくれる人は誰も居ない。仲間から孤立し、隙があればわずかなものも
奪われてしまう。どうすればいい? 誰も助けてくれないのか?
ある日、シーザーという若者が囁きかけてきた。「一緒に逃げよう」。そんなばかな
そんな愚かな。そんなことが本当に出来るのか?
どうやら「地下鉄道」というのがあるらしい。地面の下を不思議な列車が走っている。
それに乗れば自由の地に逃れられるのだそうだ。そういう手助けをしてくれる人達が
いるのだそうだ。「信じられない」、「でも信じたい」。ある日とうとう決心して
2人は逃げる。
本当に地下鉄道はあったのだ地底トンネルをごうごうと煙を噴く機関車がやってくる。
これで助かった。
やっとサウスカロライナまで逃れてきた。しかし、ここは幸せの地なのか?
はたして奴隷狩りの名人リッジウェイから逃げおおせるのか?
奴隷制に反対する人達もいる。助けてくれようとする人達も居る。しかし、皆が見方なのか
どうかはわからない。再び逃げなくてはいけないのか?
地下鉄道の駅はまだあるのか?
手に汗握る逃亡劇が続く。頑張れコーラ。頑張れシーザー。
コーラの母はどうなった? 果たして逃げおおせていたのか?
とても読み応えのある本だ。
周防柳、「蘇我の娘の古事記」
乙巳の変から壬申の乱のあたりは日本史でもとても謎が多くて諸説があって、
そやからこそいろんな想像や憶測が飛び交ってそれが本にもなってわしらを
楽しませてくれる。
特に蘇我入鹿は本当に大悪人だったのか?
その頃の朝鮮半島との関係は本当はどうだったのか?
白村江の戦いは何をもたらしたのか?
岡山県にある鬼ノ城を見に行った時もそういう話が興味森々だった。
挑戦から攻めてくるから瀬戸内海の各地に防衛用の城がつくられたのだ。
聖徳太子は本当に居たのか?
蘇我と藤原の関係は?
そして日本書紀と古事記に書かれていることは歴史的な事実が背景になっているのか?
何かの意図の元に創り上げられたものなのか?
このあたりは歴史の本をよんでいるほうが小説を読むより面白いかも知れんなあと
思いながらこの本を読んでいた。
史書を編纂する役目の船恵尺は蘇我入鹿に大命を授かっていた。
しかし、突然、居るかが討たれてしまった。
その混乱のなかで忘れ形見の娘、「こだま」をあずかり我が子として育てる。
兄の「やまどり」と共に成長した少女は父の残した歴史の物語を
口ずさむのが得意になっていく。
そして、壬申の乱につながる混乱と戦乱が始まっていく。
他愛も無い話だ。面白くもなんともない。
例えば、「妹背山婦女庭訓」みたいに名前だけ頂いたほうがましかもしれん。
という意味では、あんまり歴史の話として目くじらたてんと軽い読み物として
気楽に読んだらそれはそれで楽しいと思う。
ブログランキングに参加しています。もしよかったらポチンとお願い致します。
にほんブログ村
ありがとうございました。