最近読んだ本、「風神雷神、風の章、雷の章」、「呑み鉄、ひとり旅 乗り鉄の王様がゆく」

  • 2017年12月12日

柳広司、「風神雷神、風の章、雷の章」
これと同じテーマで辻邦生の「嵯峨野明月記」を読んだことがある。格調高い文学の
香りがする文章やったような記憶があるけで、こっちはとても読みやすい。
主人公は俵屋伊年、後の俵屋宗達だ。
ただのぼんやりボンに見える扇屋の老舗俵屋の後継にはもしかしたらとてつもない
画才があるのではないやろか?
安芸国、厳島神社にある平家納経の修復で驚くべき才能を見せたのだ。
そして、盟友角倉与一の企画で、紙屋宗二が極上の紙を用意し、俵屋伊年の絵に本阿弥光悦
が文字を入れた前代未聞の手書き印刷本、「嵯峨本」ができるや絵師として京の街の
寵児となってしまった。
本阿弥光悦の美への執念と鋭い感性が彼をどんどん高みに連れて行く。
そして烏丸光広との出会い。融通無碍の境地。
世界がどんどん広がる。縛りはなにもない。ひたすら美の世界を彷徨う。
てな具合に、宗達の世界と彼をとりまく、京の文化の爛熟の気分をわかりやすく立ち上げて見せる。
とても読みやすくて面白い。

芦原伸、「呑み鉄、ひとり旅 乗り鉄の王様がゆく」
わしは鉄ちゃんではないけど鉄道の旅はとても好きだ。特にローカル線各停の旅は
気に入ってる。それは鉄道の旅の風情もあるけど、青春18切符を使って安く旅が
できるからだ。そやから安いんであれば特急でも新幹線でもええんやけどそうは
いかんからしょうがない。
18切符の場合は、1日で出来るだけ遠くへ行きたいんで、乗り継ぎ作戦が肝心になる。
1分、2分の乗り換え時間を次々にこなして息つく暇もない場合も多いんで、長丁場やから
座りたい、爺さんやからトイレのある車両が近い方がええなんて考えると、へたしたら
格闘技に近いんちゃうやろかと思たりすることもある。
走ってる時は鈍行やからのんびりゆっくりできるけどどっかであてもなく降りて
興趣に浸るなんてことができへんからがさつで無粋な旅になりかねへん。
それはそれでわしは楽しいけど、かなわんなあって思う人も多いとおもう。
この本では、旅のプロ、鉄ちゃんのブロが趣深いところを上手に旅しはる。
ちょっとノスタルジックが過ぎるんちゃうのと思わんでもないけど、思い出と共に
走る鉄ちゃんの旅はええんかもしれん。
乗った路線もあれば、乗ってない路線もある。
乗った路線で思い出深いのが秋田内陸縦貫鉄道。夕暮れ時の列車に学校帰りの高校生たちが
乗り込んできて、停まるごとに少しずつ降りて行って、とうとう誰もいなくなって
雪の角館に着いた。
乗りたい路線は南阿蘇鉄道、豊肥本線の災害復旧工事が終わったら是非行ってみたいと
思っている。

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