貫井徳郎、「壁の男」
どこか関東の方の地方都市に珍しいスポットがあるという。ノンフィクションライターが
旅に出た。なるほど変わってるという噂の家があった。どう変わってるんや?
家の外壁全部に絵が描かれてる。とんでもない絵に見える。プロの絵というよりは
子供が描いた絵のようだ。色も派手で力強く、どこか味わい深いところがないでは
ないけど美味いとは言えないような気がする。それでもどこか惹かれる。それに
この絵はこの1軒だけではないようなのだ。よく見たらあっちにもこっちにも、
殆どこの集落全部なのではなかろうか?
描いたのは誰だろう? どんな人が? どんな理由で?
えっ、どんな絵やろ? どんな絵を想定してこの物語が書かれてるんやろ?
わしかて見てみたい。で、いきなり本の世界に引っ張られる。
尋ね回るうちにある人物が浮かび上がって来た。
一人暮らしの伊苅という男らしい。
寡黙な男だ。尋ねて行っても頑なに心を開かない。
何度も尋ねるうちに少しずつ話始めた。でも、詳しくは話さない。何か理由が
ありそうだ。何か暗い闇を背負ってるんとちゃうやろか?
本人だけでは埒が明かないんで関係ありそうなあらゆるところを取材に回る。
少しずつ。見えてきた。
妻梨絵子はどうした。子供がいたらしい。その子、笑里はどうなった。
少しずつ謎がほどけて見えてくる。
なぜ伊苅は住民から疎外されていたのか。そして住民はなぜ彼に心を開いて絵を
頼むようになったのか?
絵の果たす役割とは何なのか?
それはわしも知りたい。
そしてつぎつぎと驚きの事実が明らかになっていく。
いやこれ以上の驚愕があるのだろうか?
とても面白い。
呉座勇一、「応仁の乱- 戦国時代を生んだ大乱 」
この本、とても面白い。割と硬い目の歴史学者的な、研究レポート的な内容かと
思って読み始めた。事実そうなんやけど、内容がとても面白くてついつい読んで
しまう。人名が一杯でてきて、それぞれが難しい読み仮名ですぐさま読み方を
忘れてまた戻りつ行きつ、あれがああなったんかこれがこうなったんか誰が敵か
味方か糾える縄の如しでわけわからんけどそれが結構面白いし、実はそれが現実
だったのらしい。
応仁の乱のあたりの歴史なんてさくっと通り過ぎててあんまり覚えてへんかった。
京都の老舗を云々するときによくつかわれる、「戦の後以来の・・・」でいう
戦って第二次大戦ではなくて応仁の乱のことやで、それほど古いんやでという言葉
で最後に京都が大きく焼かれた頃なんやと漠然と知ってるていど。
細川勝元と山名宗全の勢力争いが東西に分かれた前面戦争に。
足利義政の後継者争いに、日野富子がからんだ女が政治によこしまにに絡んだ。
なんてことをステレオタイプに記憶してただけだ。
しかし、この本を読んでみると近畿一円のいろんな豪族や部族の領土争い、縄張り
争い、跡目争い、様々な利権と怨念がぐるぐる回って、今日はあいつと手を組んで
あしたはこっちについてなんて節操があったりなかったり、戦争になったらならん
かったりそんな争いを延々とやってた時代にことを応仁の乱って言うらしい。
よんでると成る程そうかと頭の中が整理できたきたり、その後の戦国時代の本格的
な争いの元はこんなとこにあったんかと目を洗われるようなこともある。
難しくて面倒くさいけど、とても面白い本だ。
昔の人の日記を読み説くとこんな面白い話が出来上がるのだ。
すごい。
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ありがとうございました。