神戸、元町、元町映画館で「台北ストーリー」を見た。

すばらしい。せつない映像が心に沁みわたるようだ。
台湾の80年代ニューシネマの時代の幻の名作を4kデジタル修復したやつだそうだ。
夭折の天才エドワード・ヤンの傑作だと言う。わしは映画に詳しい人ではないんで
難しいことはわからん。まったくすっぴんで見さして頂いた。
どうやら日本のバブル期が始まったころの話らしい。街の風景も、人の服装も
車もなんもかんも古くさいようではある。しかし、それが妙に懐かしくて、切なくて
美しいような気がする。決定的に違うのが携帯電話とインターネットがなかった
時代やったなあって思い出す。もしそれがあの頃あったら、あの時のあれはどうなって
たんやろ? もっと別の展開になってたかも?
なんて遠い目で振り返るようなことがあったのかなかったのか?
がらんとしたマンションが映る。
一組の男女がいる。女はアジン、希望に満ちているようだ。ここは2人の愛の
住処になる。「大丈夫、私の給料がアップするから」
男はアリョン、何となく興醒め風だ。
どこか噛み合っていない。
女はバリバリのキャリアウーマンらしい。
男はアメリカから帰ったばかり、しかし、今は小さくて雑多な卸問屋や商店が
立ち並ぶ廸化街でしがない布地の商売をしているようだ。
そして2人の噛み合わなさがだんだんと広がってきた。
アリョンには少年野球で活躍した忘れ難い栄光の時代がある。しかし、その後は何をやっても
ぱっとしない。幼馴染のアジンと自然に結婚するながれになっていたはずが、
だんだんと歯車がずれはじめた。ならばアメリカに行ってやり直すか?
本当にそれが解決になるのか? 決められない男、動けない男? 苦悩する男?
女は戸惑う。
そして女にも破綻がやってきた。仕事がうまくいかない。
首になるのか、辞めるのか?
元上司にも心が揺れる
殆ど会話しない。会話しても出口がない。なおそれゆえにわしらに緊張感を強いてくる。
会話のない二人をカメラが追う。窓の外に街の景色が見える。ありきたりの商店街、ありきたりの都会、
富士フィルムのネオンサイン、ありきたりの街角、何故か、それがとても美しくて心を打つ。
全編を流れるものういチェロの調べ、昭和の日本の歌。
爺さんのノスタルジーをえらくくすぐってくれる。
普通語と台湾語?(福建語?)を使い分けてるみたい。
これからの時代と過去の亡霊?
アリョンはどうなる? アジンはどうなる?
二人はどうなる?

台北にまた行きたくなったなあ。
廸化街にも行きたい。

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ありがとうございました。