王石谷の画集

  • 2010年7月29日
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水墨画では、まだ「石濤」の画が大好きだ。よく模写をしていた。
ある時、老師が、「そろそろ『王石谷』の練習をしたほうがええね」と言いだした。
「『王石谷』は今ではあんまり人気はないけど、水墨画の基本なんやわ。
そやからきちんと勉強しといた方がええ」という事だった。
ちょうどその頃、建仁寺、両足院で長谷川等伯の「竹林の七賢」図の展覧会があって見に行ったら
その入り口のところに、『王石谷』の軸があるではないか。かなり傷んで見えにくくなっているが
大きな軸だった。ゆっくり見ていると素晴らしい。細かい線で繊細に村里を描いている。
それでその後、画を習いに行った時、「『王石谷』はええですなあ。えらい繊細ですよ」と
興奮して言ったら、さっそくそれにも負けない繊細で丁寧な画を手本に描いてくれた。
それ依頼、『王石谷』風の画題で練習することが多くなった。
その後、北京に行った時に、瑠璃廠に行く時間があった。
「ちょうどいい。古本屋に行こう」
瑠璃廠には文房四宝の店だけでなく、古本屋もあるし、書画専門の古本屋もあるのだ。
それで、ある店に入り、「『王石谷』の本ありますか?」と聞くと、
「ない」というのだ。「有名な人でしょう?」と言うと、
「有名だけどない」と言う。
老師がいうように、やっぱり人気ないんやと思った。
それでもしつこく探してみた。幸い瑠璃廠には書画専門の古本屋が何軒かあるのだ。
ある店で、「『王石谷』ありますか?」と聞いたら、とうとう
「あるよ」と言う。
しかも、大安売りだという。上下2冊で200元。破格の安値だ。
早速買って帰った。
なかなか好い画が沢山ある。しかし、どれも緻密、精密な画ばかりだ。
模写するのに老眼はかなりきつい。
しかし、今となっては中々手に入らない画集なので大事にしてじっくり練習しよう。
何にしても基本があって応用がある。
自分流に自由に描けるようになるためには基本を辛抱強く勉強するしかない。
がんばるしかないのだ。

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毎週木曜は映画、音楽、書画に関する話です。