一海知義、「漢詩道場」
最近よく陸遊の詩のことがブログに出て来ると思うが、それはこの本を読んだからなのだ。
学生時代は漢詩が好きだったので漢詩を本を買って読んだりしていたが、そう言う本の
翻訳と解説によく名前が出ていた人なので名前は覚えていた。
今回ちょっとしたきっかけでこの本を読んだのだが、漢詩を読むと言う事に関して目を
洗われる思いを抱いた。
これは、詩の解説というより、如何に詩を読んで理解するかという事を学ぶ題名通りの
道場なのだ。
漢詩という独特の世界の中で其々の言葉が美しく響き合って有る時は優雅に、有る時は
哀しく、あるときは酒に酔って戯れれている様を読み取るのだとしても、殆どの言葉、
言葉には出典がある、あるいは出典の出典がある。そしてその言葉が何故使われたのか
その出典をどのように理解したうえでその言葉の意味を考えればいいのか、作者の
生活環境はどうなのか、歴史背景はどうなのか、一言半句をもおろそかにしないで明らかに
することで初めてその詩を理解したといえるということなのだ。
「孔子の弟子の○○が、昼寝をしに抜け出すと言って、孔子に怒られる話があるやろ、
あれはなあ、あの昼寝というのは、女性と昼寝をするという意味なんやで・・・
そやから怒られるんや・・・」
なるほどそういうことやったんか。
一海÷2=半解ということで半解先生大活躍の本。
実におもしろいが、難しい。
これで陸遊が好きになった。
小路幸也、「東京バンドワゴン」
ほのぼのとした推理小説。
いろんな事件が起こって、それを解決する。それが推理小説だが、この本の中に入って
いくと、事件が起こってもいいし、起こらなくてもいい。解決してもいいし、解決しなく
てもいい。
東京の下町に実際にありそうな古本屋。又はあってほしいような古本屋。
たあいのないような、良く考えたら深いような、そんな出来事が時々起こるだけの話。
たかがそんな話だが、そんな話を読んでいたくなる。
こんな人達と一緒に暮らしていたくなる。
そういう本だと思います。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。