ヨナス・ヨナソン、「国を救った数学少女」
この作者の作品で、「窓から逃げた100歳老人」と言う本がある。えらい人気
でベストセラーになっているらしい。わしも図書館に予約してもう大夫になる
けど未だに順番がまわってきいへん。そのうち、この本が店頭にならんでいた。
面白そうだ。話題にもなってるらしい。この本も早速予約したところ、こっち
が先にやってきた。
読み始めたら、これはおもしろい。
おもわず立ち上がるほど面白い。
奇想天外、痛快無比、波瀾万丈・・・。
舞台は南ア共和国。
えらいとこが舞台やなあ。
貧しい村で貧しい暮らしをしていたノンベコという娘が母を亡くして都会に
出てきた。大都会の暮らしは過酷だ。娘は屎尿のくみ取りで暮らしをたてる。
しかし、この娘、何故かとても頭が良い。特に数字に強い。瞬く間にその事
務所の管理を取り仕切ってしまうようになる。くみ取り所の実質的な所長さ
んだ。そしてまたいつの間にかあやしい技術者ヴェストハイゼン家の家政婦に。
そっからがすごい。実はヴェストハイゼンは原爆を密かに作るプロジェクト
のリーダーだった。いつかノンベコはそんな秘密の内容も理解するわ、技術
者をコントロールするわ・・・そしてあろうことか原爆が一つ余る。
あってはならん事だ。闇から闇に葬らんとあかん。みなノンベコが頼りだ。
イスラエルのモサド諜報員A,Bが出る。
そして舞台は何故かスウェーデンへ双子のホルゲル1号2号。
国王まで。
荒唐無稽なようで何となく筋がとおってる。勝手にせい!思わず叫ぶほどハチ
ャメチャなようで、いつのまにか応援してる。
さあこの結末はどうなる。
一気に読まされてしまった。
杉本鉞子(大岩美代訳)、「武士の娘」
すばらしい。
これがとても英語で書かれた本やとは信じられへん。著者は元長岡藩の家老の
娘だった人だ。武士の家庭で厳格に育てられた。そして、維新の維新の戦で家
は落剥する。長岡藩の武士にとってはつらい戦いだった。
そして、有るとき、兄の縁でアメリカで働く顔もしらない兄の友人の所へ海を
を渡って嫁いでいく事になった。何と数奇な運命なのだろう。
しかし、この人の心にあるサムライの精神は読んでいてひしひしと伝わってく
る。抑制された品格のある文章だ。貧しさの中でも逆境の中でも、どんな時に
も卑屈にならないで毅然として感情をコントロールしている。
弱いようで挫けない。厳しいようで優しい。
今ではあんまり見かけへんようになった日本の心をみるようだ。
ある日彼女は疑問を抱く。アメリカの女性は自分が使うお金の決定権が無いよ
うだ。旦那にねだるか、へそくりをする。
日本の女性は違うと言う。家長の妻たる者は家族の幸せに責任を持たないとい
けない。限られた収入の中で、夫には体面を保てるだけのお金を遣い、家族や
使用人の生活を守れるよう使い道をコントロールするのが主婦の勤めだと言う。
つまり決定権と指揮采配する権限があるのだ。おとなしく従属してるだけでは
ない。
成る程成る程。
女性が家のお金を管理する家庭が多いんは日本の伝統やったんやね。
そして子どもが生まれ、夫が急に亡くなる。
日本へ帰るのか? 永住するのか?
波瀾万丈の半生が淡々と語られる。
この淡々さいいなって思う。英語で読んでみたいな。実力ないけど。
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ありがとうございました。