映画、「ある取り調べ」を見た

ある雨の朝。刑事が取り調べ室に現れる。部下もやってくる。
ある殺人事件の被疑者の取り調べを行い調書をとらなければならないのだ。
室内にはステンレスの殺風景なテーブルが中央にあって取調官と被疑者が向か
い合って座る。当然取調官が入り口ドアを背に座る。その取調官の横に壁の方
を向いて書記役の部下が座る席があってパソコンが置いてある。今時調書の作
成もパソコンなんやなあって思う。セキュリティの管理は大丈夫なんやろか。
部屋には一つだけ窓があって取調官からも被疑者からも外が見える。
外は雨。やむ気配がない。
しばらくすると電話が入った。被疑者が到着するのだそうだ。
朝の7時。ある男(被疑者)から警察に妻と子を殺したと電話が入った。
妻と子が死んでいた。
その場で逮捕された男がここにやってくるのだ。
男がやってきた。部屋の中は3人になった。
「では始めましょう」
沈黙が続く。
男は頑なだ。
そして、いきなり、「私を死刑にして下さい」と叫んだ。
部屋の中に緊張が走る。
取調官がゆっくりと穏やかに男を解きほぐしにかかる。
すこしずつ言葉が出て来る。
そして衝撃の事実が。
いや、衝撃のようでよくある話だ。
「私たちは、何が本当にあったのか、事実を明らかにしなければならない」
あってはならないこと起こしてはいけないことがどうして起きたのか、それが
何だったか。
自白を引き出すと言うよりは、2人でその背景にある不条理をえぐり出す言葉
の旅をしているようでもある。
登場人物はこの3人だけ。
場所はこの取調室だけ。
窓の外は雨がふりしきる。
そして、90分間、緊迫した濃密な時間が流れる。
3人の存在感がすごい。
芸の力なんやね。
この世の中には不条理な事や理不尽な事で溢れている。
彼らもそれぞれ重いものをものを背負っている。
一生懸命がんばってるつもりで、気がついたらいつの間にか歯車が狂っている
ことに気がつく。
男の魂に救いがあるのか?
緊迫した濃密な90分間を是非劇場で味わって下さい。

eiga150717

因みにシネ・ヌーボーの方では「卍」をやってた。
谷崎潤一郎のフェチな名作だ。ちょっと気になる。
「総天然色」なんやって。

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ありがとうございました。