「美の巨人たち」というテレビ番組を見ていたら、「若冲ワンダーランド」と
いう特集をやっていた。伊藤若冲の画を探る番組だ。
その後、東寺に行こうと京都に向かう電車の中で、MIHO美術館でこの
「若冲ワンダーランド」の特別展をやっているという吊広告を見つけた。
「これは絶対行こう」とMIHO美術館の場所を探したら、えらい遠くにある。
信楽の奥の方だ。
ゴルフ場のある山の中。着いたら、9時25分。9時半会門まで門の外で待機だ。そして入場。
10時開場まで更に待って、美実館のある建物まで10分ほど登る。
近代的で非常にユニークな建物だ。
相当異質な空気が流れているように思える。
目指す、「象と鯨図」一対の大屏風だ。
ぐいぐいと大胆に描き切ったようで、緻密な計算がある。
細部まで手を抜かない力強い線が迫ってくる。
ワンダーランドと銘打つだけあって、沢山の若冲が展示されている。
私が気に行ったのは、菊図、蛙図、鶺鴒と蓮図、雨龍などだ。
奇想とまで言われる発想の妙と、味のある線が印象的だった。
同じくワンダーランドの仲間達ということで、円山応挙や池大雅、与謝蕪村
などが展示されていたが、一際目を奪われたのが、曽我蕭白の「鷹図」だ。
たった一枚だが、私としては、今回のワンダーランドの白眉だと思った。
「味がある」とか、「余白の美」とかいうあいまいな言葉がふっとんで
しまう極彩色の超絶技巧だ。
以前、東京国立博物館で歴代巨匠同士の「美の対決」のような企画展があって
其の時に若冲と対決していたのが、やはあり蕭白のこの画だったのだ。
確かに、奇想の画家といわれるだけあって、エキセントリックな画が多いが
この一枚でこれだけ存在感があるのだからすごいものだ。
もちろん若冲もすごい作品が沢山あるので、どちらが上というわけでは
全くない。