最近読んだ本、「甘美なる作戦」、「兵士はどうやってグラモフォンを修理するか」

NO IMAGE

イアン・マキューアン、「甘美なる作戦」
この人の作品は何時読んでも面白い。新しいのが出てくるのが楽しみなのだ。
あんまり面白いんで読み終わるのがもったいなくなるほどだ。
セリーナ・フルームという女がいる。美人だ。父親は英国国教会主教で何不自
由なく育った。セリーヌは文学好きな少女であるはずだったのに、なぜか数学
の成績が目立ってしまってケンブリッジの数学科に。しかし、当然のことなが
ら落ちこぼれてくさっているうちにある初老の男、トニー・キャニングに惹か
れるようになる。
その男が彼女を本来の文学の道に導いたのだ。
と思いきや実は彼は彼女をMI6への道の導いていた。
何故か?
そして突然の別れ。
何故か?
浮気が妻にばれた?
そんな簡単な話だったんだろうか。
セリーヌは彼に夢中だった。彼の敷いた路線通りにMI6に入る。
でもそこではありふれた事務員。
しかし、突然ミッションが。
体制側をそれとなく擁護するようなポジションになりそうな有望な作家を見つ
け出して育てるというミッションなのだそうだ。
結構妖しい。
選ばれたのはトマス・ヘイリー。
たちまち彼女は彼と恋に落ちる。
さて、彼は作家として成功するのか?彼女の運命は?
確率論が小説に応用されたら? ゲームの理論は。
物語はトポロジーの世界のように裏になったり表になったり、過去が突然現れ
て現在とつながったり。
めくるめくような面白さだ。

hon141229-1

サーシャ・スタニシチ、「兵士はどうやってグラモフォンを修理するか」
ボスニア紛争の頃の物語だ。
ある日、おじいちゃんが死んだ。
それから少年が魔法使いになる。
魔法の物語りで、古里と家族の暮らしを物語る。
ゲームやサッカーの暮らしに戦争が入ってきた。
共産党とティトーの肖像のある暮らしはどうなっていったのか。
いつしか少年の物語は戦火を逃れていったドイツの地から少女アシーヤに宛て
た手紙になる。
彼女は本当に存在するのか?
存在したのか?
少年は、亡命の地から祖国を再び訪れる。
彼女はどうなった?
この世の暮らしとこの世ならぬ世の暮らしが交錯して、誰が誰の言葉で喋って
いるのかいつの間にかわからなくなって、
不可思議で面白い作品だ。

hon141229-2

ブログランキングに参加しています。もしよかったらポチンとお願い致します。
にほんブログ村 旅行ブログ アジア旅行へ
にほんブログ村

ありがとうございました。