時々京都遊、京都国立博物館、「国宝、鳥獣戯と高山寺画展」に行った

やっと鳥獣戯画に行った。前の週にも勇んでいったんやけど、外で40分、
中で30分と書いてあったんで、こんなん待たれへんわってあきらめて帰
った。今回も同じような時間帯、14時頃行ったんやけど、びっくり、待
ち時間は更に増えて外90分、中50分と書いてた。一瞬又帰ろかって思た
けど、この日は18時まで京都で別件の用事がある。思い切って待とうと
列に並ぶことにした。

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まあ、本でも読んだり、iPadでもさわってたら時間も経つやろ。
それにしても思い荷物は先にロッカーに入れておかんとあかん。トイレ
も行っとかんと持たへんかもしれん。準備万端整えて、列の後ろに付い
た。
さて、本でも読もう。
「えらいこっちゃ。老眼鏡、鞄に入れてロッカーの中や」今更しょうが
ない。iPadで文字大きくして何か読んどこ。
並んでる人は京都観光ツアーに組み込まれた団体さんが多いようだ。色
々わいわい喋ってはって、それ聞いてるだけでも退屈しいへん。しかし、
最後の方になると、5人ずつ整列してと言われる。なかなか整列がうまい
こと行かへん。1人足りんかったら後ろから2人入ってくる。多すぎる
でということになるとわしが1人やから後ろに下がらされる。又、後列
から2、3人あがってくる。前に行かれへんやんか。順番待ち最終段階
になると、1度に15人ずつ案内されてる事がわかってきた。横の人が
友達と別れそうかもって焦ってわしに、あんた1人やったら後ろに行っ
てもらわれへんやろかって持ちかけてくる。そんなん団体の中で調整し
てくれへんとわしはいつまで経っても前に行かれへんと断った。
なんだかんだでも、列の進み方は予想より早いみたいで60分くらいで中
に入れた。

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待ったかいがありった。
すばらしい。線の美しさが抜群なのだ。
戯れ画で描いたような線とは全く違うと思った。
「起筆、終筆をしっかり描く、その間の運筆は滑らかにして、穂先は斜
めに走らせず、正中線を守りながら変化をつけて描く、転折部は特に優
美になるよう気をつける」なんて杭州の美術学校に短期留学したときに
人物画の先生があくまでもやかましく教えてくれた基本そのものを守っ
てる。基本は同じなんやねと改めて感心した。
甲巻は固く鋭い線が多くて、乙、丙とだんだん柔らかくなっていくよう
に思った。最後の巻はゆるやかで変幻自在で実に面白く楽しい。
それに、鳥獣人物の間にある草花の表現がすばらしい。
一つ一つの草むらであってもその中にいろんな草花をかき分けて変化を
つけてるし、大小、濃淡、粗密などの変化もつけて多彩な表現になって
いる。土手や堤や荒れ地の表現の仕方も水墨画の基本で習うような技法
がきちんと使われていて。簡単そうなところも手を抜いてないって思った。
係員前の人が、「前の人とできるだけ間をあけないように、流れに合わ
せて、さっさと行ってください」って言うんやけど、釘付けになって足
が動かへん。幸い後ろの人がゆっくりやったんで、前との空きは気にし
つつも適度に後ろとの距離をつくりつつ必死でがんばって目を皿のよう
に見てしまった。
やっぱり本物を見んとあきませんな。
別館の方もよかった。
あんな気味の悪い雪舟は初めてだ。明画の技法に思い切り影響されて、
ものすごく正確で気持ちの悪いしかもむちゃくちゃ優れた技法の絵を描
いてる。鶴の羽とか松の葉とかの繊細さがすごい。蘇我簫白みたい。
小説の上では悪もんにええもんと分かれる、狩野永徳と長谷川等伯もあ
った。永徳はさすが大人という絵やけどおもろないと思った。等伯の猿
は牧谿の猿そのものにも見えたけど、ええ雰囲気が出てる。
今回の展示で唯一、侘び寂びを感じさせるもののような気がした。
雲谷等顔という雪舟の弟子の絵もよかった。構図は雪舟そのものやけど、
木と葉の書き方は南宋画の技法の古典的な技法が明確で美しい表現やった。
あと、沈周と石濤と名前忘れたけど揚州八怪の誰かの小品画集があって
画集やったらパラパラめくって見たいなあって思った。
とにかく内容の濃い展示会で感動した。

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ありがとうございました。