さて見よう。
部屋が二つに分かれてる。
こっちが新春特別展というやつか。
いきなり岩佐又兵衛。繊細で緻密、素敵な画やね。川合玉堂もええわ。と言い
ながらもあっちの部屋の方が気になる。そわそわしながら移動して、菱田春草
の「落葉」の前へ。これかと思うが、何かちょっとしっくりこない。
閑かさの中にある存在感のようなものを期待してたんやけどどうしても画面の
中にのめりこんでいけない。すごい画なんやけどなあ。私の感性がにぶいんや
ろけど入り込む隙間がないような窮屈感を感じてしまった。
ぐるっと回って反対側に、
「これはすごいわ」
縦長の大きな画面に墨黒々と巨大な山がたたずんでいる。
山田介堂と言う人の「倣米海岳黄昏微雨図」というやつだ。湿り気を含んでけ
ぶりたつような木々をたっぷり抱えた山が実に美しい墨色であわあわと描かれ
ている。合間に見える瀧や小川、小さな家が上品な写意を創りだしている。
これを見に来ただけでもよかったと思えるほどだ。
小林古径の線は本当に品格があって美しい。こないだ広島で見た堅山南風もあ
るやんか。この人もええ線やなあ。速水御舟の視線がすごいなあ。竹内栖鳳も
美しい。
遠いけど来てよかった。大家の作品をたっぷり見て充電させていただいた。
自分の中にどれほど役立たせることができるかはわからんけど、ええもん見た
と言う高揚感は確かにいただいた。
ありがたく帰るとしよう。
帰り道は遠くはない。
バス停で時間を見たら、まだ20分強ある。待つのは面倒や歩いても大差ない
やろと思う。それでも一旦田原町の駅を通ってみるがここもまだ電車は来そう
もない、やっぱり歩こう。途中から高校生らしい女学生と抜きつ抜かれつにな
ってしまった。向こうはいややったやろしわしも他意はないんやけどペースが
似てたからしゃあない。とうとう一緒に駅まで着いてしまった。
帰りは順調、15:10福井発に乗ると、大阪に18:20に着いてしまう。
この駅、いつ通ってもええ感じなのだ。
この人スケッチしてんのかなあ。わしも降りてスケッチしたい。
雪が積もると手前の柿の木と向こうの林と山がもっといい風景になるのだ。
トンネルとすぎると琵琶湖が見える。
近江舞子まで来ると日が大分暮れてきた。
帰りはかなり人が多いんやけど、車内がかなり冷え込んでくる。
山科を過ぎると車内はただの新快速だ。
大阪に着いてこの旅はおしまい。
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ありがとうございました。