何気なく文楽劇場の情報を見たら「仮名手本忠臣蔵」の通し狂言があると書いて
ある。久しぶりに文楽がみたくなった。ネットでチェック、後ろの方に安い席が
ある。2300円だ。これええやんと思う。映画も後ろの方が見やすいくらいやから
もしかしたら問題ないかもしれん。浄瑠璃を聞く分には関係ないし、舞台も全体
感がつかめてかえってええかもしれん。人形の細部の動きはわからんけどそれば
っかりでも入り込めない時がある。試しに、この席で見てみよう。今やったら、
大体好きな席がとれそうや。長そうやからもしかしたらトイレに立たんなんかも
しれんので真ん中の端をとっておこう。第1部見て問題なかったら第2部のチケッ
トを買うことにしようと決めた。
当日の事、ある程度長いとは思っていたが、精々昼過ぎくらいには終わるやろと
簡単に考えて文楽劇場まででかけた。甘かった。時間表を見ると、第2部が始まる
少し手前までびっしりと埋まってるやないか。10時半に開演して16時まであるの
だ。休憩は殆どない。げっ昼飯どうすんやと思ったら25分だけ休憩があるんやそ
うや。またか、曽爾高原と一緒やとコンビニにおにぎり買いにいこうとしたらも
う時間がない。
文楽劇場でもちゃんとお弁当売ってるのがわかったけど高いし、その割にはおい
しくなさそうや。(食べてないでわからへんけど)、しゃあない25分で近所に速
攻で食べに行ってみよと腹を決めて席に着いた。
幕が開いた。後で席に着く人もいるし、結構ざわつきながらのスタートで、集中
できるんかいなと心配していたら、いきなり舞台からすごい気迫のような緊張感
がやってきた。浄瑠璃の声にも緊張感が感じられる。
「えらい気合入ってんなあ」と気持ちがぐいっと引き寄せられた。
通し狂言ってこんなにすごいもんなんかと改めて感心した。
もしかしたら某市長のわけのわからんいやがらせもどきみたいなんに、反骨心が
燃え上がってるんかもしれん。そんなら絶対応援せなあかんやんか。
そっから一気呵成。
緊張がゆるむことはない。ずんっと集中して見入って聞き入ってしまった。
「ええなあ」
席なんか関係ないでと思った。
はずかしながら「仮名手本忠臣蔵」の筋書きを知らない。この舞台で始めて知っ
たのだ。あの赤穂浪士の刃傷あだ討ち話を実にうまいこと足利将軍の時代の人情
話に仕立て上げている。笑いあり、涙あり、よろこびあり、悲しみあり、ちょっ
と色気のある話ありで飽きることなく面白い。
それにしても兜検めというとこで、いきなり蘭奢待と言う名香の話が出たのは驚
いた。奈良の東大寺、正倉院に秘蔵の香木で一般の人は名前すら知らないはずだ。
その貴重さは、織田信長など歴史上の何人かが少しずつ切り取って付箋をしてる
と言うくらいのものらしい。お話とは言え、そんなものをここにさらっと登場さ
せていると言うのが面白い。
あっと言う間に昼の休憩になった。
お昼ごはんに走った話は別途詳しくすることにする。
昼ごはんの後も、緊張は途切れることなく16時まで一気に見てしまった。
やっぱり名人の浄瑠璃に泣かされるなあと思った。
ええ声の人が多い。
ただ最後の早野勘平切腹の段の浄瑠璃と三味線は私にはかなり違和感があったん
やけど、それは私が素人で至芸の微妙なとこが理解できへんからなんやろなあ。
これやと第2部も一番後ろで十分なのだ。よかった。これからは安く文楽を楽し
める。さっそく予約しなくては。
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ありがとうございました。