映画、「眠れぬ夜の仕事図鑑」を見た

夜は殆どぐっすり寝ているけど、それはただ単に酒に酔っ払っているからだ。
それでも飲み方を誤って、飲みすぎたり飲み足りなかったり、食いすぎだった
りいろんな要素が集まって寝られない夜も沢山ある。あんまり寝られへんと、
本を読み始めたりするときもあるが、寝られへんと焦ってる夢を見ている時も
あるんで何がなんやらようわからん。そんな時に世の中では何が起きてるのか
考える事は殆ど無い。しかしわしに関係なく世の中はきちんと回って動いてい
る。

ずっと前に羽田空港で夜明かしをしたことがある。北京からの帰りJALの大阪
への直行便が無くなっていて夜遅く羽田に着いて朝一番で伊丹に帰る便に乗る
為の時間待ちだったのだ。空港で一夜明かすのも一興と思い敢てやって見た。
夜の10時から11時くらいまではまだ売店も開いていて賑やかだが、それを
過ぎると急に寂しくなる。店を片付ける人、時々飛行機が到着して、帰って行
く人、何時出発するんやろ? 乗る為にやってくる人。段々がらんとしてきた。
音が無くなって行く。
「下りのエスカレーターです。足元に気をつけてください」と言う自動音声ば
かりが耳につく。
店や事務所を閉めて帰る人。その後はガードマンが時々。そしてしばらくした
ら今度は出勤する人がやってくる。結構めまぐるしくて見ていて飽きない程だ。
ずっとずっと前に深夜のバンコクに到着して夜明けまで乗換えを待たないとい
けない事があった。あんまり眠たいんでマッサージしながら寝ようと行ったら
閉店していたので夜明け頃の開店までマッサージ室で寝させて貰った。従業員
達といっしょに雑魚寝だ。疲れ切って爆睡してはった。わしらはたまたまやけ
ど彼女達は毎日のお仕事だ。
ずっとずっとずっと前に、あるスナックで飲んでいたらその店が閉店してから
ずっと離れた町まで、あるお客さんのたまっていたツケを払ってもらいに行く
のに同行することになってしまったことがある。夜明けまで待って起こして
ツケを払って頂くのも仕事のうちなのだそうだ。

わしらが空しい夜を過ごしていても世の中は忙しいのだ。
映画を見ていて思ったのは、日本には国境にまつわる仕事に対する意識が殆ど
ないなあという事だ。国境の警備、難民や移民に対する仕事などなど。国境線
がないってええなあと思ったが、そんなことはない。海の上に問題が一杯ある。
もう一つ思ったのが、暗い夜が無くなったなあということだ。
最近漆黒の闇を見た事がない。
もう夜にはおばけも精霊もいなくなったのだ。

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ありがとうございました。