藍染が好きなので、旅にいったりしたときにいいものがあったら買うようにしている。
高い物は買えないけど、生地や風呂敷程度なら帰る物が多い。
それで最近のお気に入りはこの帽子だ。
昔は帽子なんか被らなかったけど、被り始めると癖になる。
冬は帽子がある時、無い時で体感温度が随分違う。3度違うと聞いた事がある。
寒い時はありがたい。
夏は、直射日光を避ける意味がある。こういうのも年をとると平気ではなくなるのだ。
そうすると間もつい被ると言うことになって、一年中被っていることが多い。
今迄いろいろ買ってみたが、最近は是が気に入っているのだ。
どこが気に入ったかというと勿論藍色だ。
深い味のある色だ。
中国でよく買ってくるような藍染の藍色とは全然違う。
「これが本当の藍染だよ」とこれを買った、京都の「藍染工房」という店の御主人が教えてくれた。
その時に本当の藍染とはいかなるものかというのを実に詳しく解説もしてもらった。
が、老化した頭では中々覚えられない、その後本を読んで勉強もして少し分かって来た。
藍草そのものは水に漬けておくと、その中に含まれるインジカンという物質がインディゴに
変ってしまうのだ。インディゴは水に溶けないから染み込んで染まっていかない。
インジカンが存在するうちに布を漬けこんで染めると草木染めのように一応は染まる。
しかしこれは本格的な藍染ではないのだ。
藍染は草木染めのように漬ければいいというのではなくて結構難しい工程が必要なのだ。
インディゴを還元するとロイコ体という化学物質になるのだそうだ。
この還元という作用が藍染の根源だとご主人が言われていた。
藍染の原料に「つくも」というものがある。藍草を伝統的な方法で加工して醗酵できる状態に
したものだ。これを藍甕のなかで醗酵させていくと甕の中が還元状態になってロイコ体が出来る
のだ。ここに布をじゃぶりと漬けるとロイコ体が染み込むがそれで染まるわけではない。
揉みこんでよく染み込ませ、空中に出して酸化させるとインディゴになって発色するのだ。
一回で着く量は少量だから何度も何度も揉みこんで酸化させてという事を繰り返さないといけない。
おおざっぱに言うと、甕の中の還元状態の管理と酸化させる作業の加減で望みの色を創っていくと
いうのが藍染屋さんの技なのだ。これが日本古来からある建て染めという方法なのだそうだ。
ロイコ体は化学材料のインディゴを薬品で還元させても簡単にできるのだそうだ。
その場合、インディゴの含有量は沢山にできるから、簡単な工程で酸化、染色させることができる。
理屈では同じはずだが、できたものは全く色や風合いが違うのだ。
「なるほどそういうことなんか」
古来から人の知恵が積み重ねられた方法というのはやっぱり優れているのだ。
「本藍染めのものは洗えば洗うほど色が明るくなっていって味がでてくるよ」
「化学インディゴのモノはだんだん色がくすんでグレーぽくなっていく」
という話だ。
中国でも本藍染めをやっているところはごくわずかだという。
今迄買ってきたものは全部本藍染めと違うんやろか?
ちょっと心配ではある。
この帽子も使い込んだらどう変わって行くか楽しみだ。
因みに帽子の下にある藍染の布は中国で買ったやつ。
これはどうなんかな?
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ありがとうございました。
