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最近読んだ本、「しあわせ中国」、「林則徐」

陳冠中、「しあわせ中国」 良い地獄か、偽の天国か、近未来のことを描いた小説のようで実はまったくの 今を描いているような感じにさせる不思議な小説だ。例の事件以来、どうも中 国の人のものを考えるプロセスを支えているのがどういうしくみなんやろと不 思議に感じることが多くて、その結果なんかようわからんでもやもやしたもの がいっぱいになりつつすっきりしないでいるんで、こんな本を読んだら少しは わかることもあ […]

最近読んだ本、「台北の夜」、「騙し絵」

フランシー・リン、「台北の夜」 珍しく台湾が舞台の推理小説やったんで読んで見ることにした。 アメリカから始まった話は台北に飛ぶ。 いきなり裏社会だ。 台湾マフィアみたいなのは直接出てこないけどいろいろ危ない仕事をしてる。 あんなおもろそうなとこがあってとか、おいしそうなモン食べてとか出てこな いというわけではないがも一つぴんとこない。 しかし、大陸と台湾とのわずかな海峡をはさんだだけやけど深くて複 […]

最近読んだ本、「ガリレオの娘」、「子犬を連れた男」

デーヴァ・ソベル、「ガリレオの娘」 この本はすごい。じわじわと惹きつけられる内容だ。ガリレオの生き様に感動 してしまう。ガリレオには1人の息子と2人の娘がいたのだそうだ。それなのに 正式に結婚してないのだそうだ。息子は後に正式に認知したのだが、娘は認知 もしていない。そして2人の娘は幼いときから修道院に入れられて暮らしている のだ。ちょっとひどい話のようではあるが、この当時の貴族やいい家の暮らし […]

最近読んだ本、「津軽」、「彼の個人的な運命」

太宰治、「津軽」 「ね、なぜ旅に出るの?」 「苦しいからさ。」 「あなたの(苦しい)は、おきまりで、ちっとも信用できません」 (太宰治、「津軽」より) 紀行文がこんな文章で始まっても太宰治の本だと何故か不思議には思わない。 むしろ、やっぱり太宰やなあって関心してしまう。 まずは序編からだ。 太宰の故郷とその近辺の近しい土地は行かなかったと書いている。 金木、五所川原、青森、弘前、浅虫、大鰐だ。 そ […]

最近読んだ本、「死者を起こせ」、「裏返しの男」

フレッド・ヴァルガス、「死者を起こせ」 すごいええ推理小説の作家を見つけたと思った。男みたいな名前ではあるが、 女性作家だそうだ。 実にユニークで愛すべき男達が登場する。 マルク・ヴァンドスレース、中世の研究者、がさつでおっちょこちょいのよう で集中したらすごい思考能力を発揮する。 マティアス・ドラマール、先史時代の研究者、原始の狩猟人のような鋭い感覚 を持っている。 リュシアン・ドヴェルノワ、第 […]