吹き抜けるような、アグレッシブなサウンド。
高揚しているが、瞑想的でもあった。
ジャズと対峙するという気分にさせてくれる演奏であった。
このアルバムは残念ながらレコードではなく、CDだ。
あのアグレッシブな「コルトレーン節」は結構レコードを持っているが、こういう
静かなバラードは其の当時買ってなかったのだ。
しかし、今聞くとすばらしい。
実に繊細なコルトレーンのサックスが印象的だ。
それに、マッコイ・タイナーのピアノ、エルビン・ジョーンズのドラムスも素晴らしい。
もちろん天才達の集まりだから当然だが。
解説を読んでみると面白い。
このアルバムは実は出た時はかなり不評だったようだ。
あのアグレッシブなコルトレーンが変節したのかと思われたのだろう。
実際は、
「あの頃はマウスピースの調子が悪く、色々細工しているうちに逆に壊れてしまったんだ。
それで早い曲を吹けなくなってしまい、代わりにマウスピースもなく困り果てた結果の
産物なんだ」
というような事情だったとコルトレーンは語ったそうだ。
こんなハプニングで生まれたアルバムだが、
実に抒情的な美しい演奏ばかりだ。
寒い夜は、ウイスキーでも飲みながらじっくり聞いてみよう。
毎週、木曜は映画、音楽、書画に関する話です。