ある日、メトロに乗った。
メトロって基本、地下を走ってるんで、あんまり日差しは入って来ない。外の景色も見られへん。ひたすらゴーゴーとトンネルの中を走ってる。乗ってもあんまり楽しいわけではないけど、移動にはとても便利だ。
しかも、メインの御堂筋を走るやつ以外は空いている場合も多くて、座るチャンスもある。
この日は堺筋線に乗った。
クソ暑い商店街を延々と歩いた後だ。とにかく暑い。暑さで疲れた。
帰るために電車にのる。座りたいなあ。
特に同行者が足が痛くて限界そう。扉が開いて、中に入りつつ、目で空席を探す。
意外にもありそうでない。残念。
一つ目についた。
優先座席に座ってるちょいご高齢気味の御婦人。荷物を膝の上ではなく、横の置いて二座席分占領してはる。
しかも寝た振りしてはる。それで、つい、トントンとして、「すみません。荷物どけてもらえませんか」って言ってしまった。
「ムッ」とした顔をして、すぐに荷物をどける。同行者が座る。
不本意かもしれんけど、一応意見落着。「ごめんなさい」と思った。
ところが、ここから大反撃がやってくる。
向かい側の席が空いたんでわしはそっちに座ったけど聞こえてくる。
「寝てるとこ、起こされて、席空けさせられるなんて初めてやわ」

「わたしって、若く見えるかも知れんけど傷害あるんよ」
とかなんとかかんとか。延々とぶつくさ言うてて、こっちまで聞こえてくる。
というか、聞こえるように言うてはる。
「荷物をどけてくれませんか」とは言うたけど、席を空けろと言うた憶えはない。
荷物っていうても、大きくてかさばるやつではなくて、手提げかばん一つだ。
それでもぶつくさは止まらへん。
えんえんと文句言うてはる。何が気に入らんかったんやろ。
まだまだ言い足りんみたいやったけど、電車が終点に着いてしまった。
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